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最新シングルは50万枚超!男性11人組のJO1は10~20代女性に大人気

『臼井孝のヒットは複眼で探せ!タレントパワーランキング編』

話題のアーティストのセールス状況や新作の内容、タレントパワーランキングを見ながら、そのヒット傾向を読み解く『臼井孝のヒットは複眼で探せ!タレントパワーランキング編』。第109回は、男性11人組のJO1に注目。

韓国の人気オーディションの日本版から誕生、選んだのは一般ファン

JO1は、大平祥生、川尻蓮、川西拓実、木全翔也、金城碧海、河野純喜、佐藤景瑚、白岩瑠姫、鶴房汐恩、豆原一成、與那城奨(五十音順)の11人からなるボーイズグループ(メンバーは1995年~2002年生まれ)で、吉本興業と韓国のCJ ENMによる合弁会社、LAPONEエンタテインメント所属で、2020年3月にシングル『PROTOSTAR』(リード曲「無限大」)でデビューを果たしている。

彼らの大きな特徴は、主に2つ挙げられる。まずは、韓国のオーディション番組の日本版『PRODUCE 101 JAPAN』の合格者で構成されていること。これは練習生101人の中から“国民プロデューサー”と呼ばれる一般ファンの投票によって選ばれており、一般的なオーディションのようにプロの審査員が完成度の高さをチェックする形ではない分、よりアイドルスターとしての魅力を持つ練習生が選ばれる傾向にある。ファンは、学術的に歌が上手いとか、世界レベルでダンスが上手いとかよりも、自分が共感したり感動したりできるスターを“推し”とするので、この選び方はある意味とても現実的と言えるだろう

ファンの自主的な応援に革命を起こしたアーティスト

そしてもう1つは、その“推し”のために、ファンが自発的に応援広告を出稿するというパターンを一般化したということ。ファンが、渋谷の街頭広告で応援している練習生の投票を呼び掛けたり、正式なメンバーに決まってからも、誕生日に巨大な花火を打ち上げたりと、その応援スタイルは、ビジネス系の各メディアが注目するほどの規模となっている。

コロナ禍でも、CDセールスが躍進、最新シングルは50万枚突破

また彼らのCDセールス(2022年7月現在の累計売上枚数)を見てみると、シングルは1st『PROTOSTAR』が42万枚、2nd『STARGAZER』が37万枚、3rd『CHALLENGER』が37万枚、4th『STRANGER』が42万枚、そして5th『WANDERING』では初めて50万枚を突破した。5作の平均は約43万枚で、これは、各メンバーがデビュー前から数年間にわたってドラマ、バラエティー、情報番組などに進出を果たしているジャニーズ系グループを除けば、間違いなくトップクラスと言えるだろう。しかも、彼らがデビューした2020年3月はちょうどコロナ禍で最初の緊急事態宣言が発令された時期で、グループアーティストが得意とする接触イベントも大幅に制限された頃。その中で、リモートでのイベントやオンラインLIVEを駆使して、高セールスを維持しているのは見事だ。

タレントパワースコアは、現状10代~20代女性で既に大ヒット級の人気、30代以上にも兆しあり

さらに彼らのタレントパワースコアを見てみると、2022年5月時点で、全体では7.5ポイント。彼らほどのメガヒットを飛ばしているアーティストなら10~15ポイントあってもおかしくないが、それだけ限られたファンに熱く支持されているということだろう。(タレントパワースコアは、一般のユーザーが「名前や顔を知っている」×「実際に見たり聞いたりしてみたい」で回答した数値なので、CD購入枚数とは一致せず、むしろCDを購入しないファンにもどれだけ広がっているか、というのが見える指標と言える。)

ただし、女性の年代別を見ると、10代から20代前半では20ポイント前後と、既に安定したヒットを飛ばすアーティストとして認識されており、また20代後半から30代、さらには40~50代も着実にファンが広がっている。言い換えれば、支持されているファン層がまだまだ限定的な中でのメガヒットゆえ、今後さらにスケールアップする可能性があるということだ。彼らは、前述のように吉本興業の合弁会社に所属していることから、お笑いタレントとのコラボや彼らがレギュラーをつとめる番組への出演など、一般層へのプロモーションもかなり有利に働くだろう。

タレントパワースコア(2022年5月) 女性×年代別

2ndアルバム『KIZUNA』は前作の1.6倍の売上だが、成長度合いはそれ以上!!

そんな彼らの最新アルバム『KIZUNA』は前アルバム『THE STAR』の1.6倍以上となっているが、歌唱面でもその成長ぶりは十分感じられる。以前であれば、K-POPの作家チームによる緻密なダンスチューンを、若手のボーイズグループであるJO1が日本語で歌うという事だけでも強みだったが、今回はそこからさらに進化している。

例えば、アルバムリード曲の「With Us」ではラップパートからサビではじける部分の緩急が、困難に立ち向かう様子を如実に描いている四つ打ちのダンスチューンだし、80年代のアイドルソングとエレクトロポップスを融合させたような「Touch!」は、キュートな中音域とシャープな高音域が入ることで、その絶妙な塩梅が見事に体現されているし、口笛のイントロが印象的な「Love&Hate」では、アンビエントな不穏な雰囲気の中で、恋の甘さと憎しみでないまぜになっている複雑な心境もきちんと歌い分けられている。それでいて、先行シングル『WANDERING』のリード曲「僕らの季節」のような定番の冬のバラードのような甘く切ないラブソングは、やっぱり最強にハマっている。

デビュー時は、“韓国発の人気オーディション発”、“ファンの応援広告が凄い”という話題が先行し、また彼らもまだメガヒット級のセールスを背負うには経験値が届いていなかったことから、ともすると、“恵まれた環境で育った長男坊”のように冷めて見られていたかもしれない。しかし、本作を聞けば、このわずか2年で、表現の引き出しが格段に増えていることが、CDだけで聴いても十二分に分かる。

現在は前述のスコアのように、“若い女性に人気”というイメージのあるJO1だが、こうした確かな実力がさらに認知されれば、ファン層は自ずと広がるだろう。9月からはグループ初のアリーナツアーも控えており、成長著しいパフォーマンス力が話題となることを大いに期待したい。

アルバム『KIZUNA』_ファンクラブ限定盤
アルバム『KIZUNA』_アニメ盤

 

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著者プロフィール

うすい・たかし。1968年京都府出身。特技は1975年以降のバースデーソング占い(笑)。地元大学大学院理学研究科修了、専攻は理論化学(だったはず)。総合化学会社、音楽系広告代理店での数値解析やマーケティング実務を経て、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、音楽分析や配信サイトの選曲、コンピレーションや復刻CDの企画のほか、日経エンタテインメント!やfumufumu news、共同通信加盟社の各地方の新聞等で愛と情熱に満ちたコラムを執筆。Twitterは @t2umusic(よかったらフォローして下さい♪)

コミュニティFM「渋谷のラジオ」にて水曜12時から『渋谷のザ・ベストテン』というベテラン・アーティスト中心の音楽番組を生放送でお送りしています。専用アプリから全国で生放送が聴けますし、過去のトーク部分は番組の(『渋谷のザ・ベストテン』note)から聴くことができます。よろしければ♪また、このうちプレイリスト #おとラボの説明をSpotify ポッドキャストにて実施中。こちらも好評(?)です! 

☆各種ストリーミングサービスにて大人向けのプレイリスト『おとラボ』を選曲しています♪

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