一昔前までは、お笑い芸人といえば男性のイメージが強かったかもしれません。しかし近年では、ピン・コンビ問わず、バラエティ番組でも女性のお笑い芸人をよく見るようになりました。今誰が注目されているのか、ランキング形式で紹介します。
女性のお笑い芸人とは?
女性のお笑い芸人は、近年注目度が高くなってきています。一体どういった点が評価されているのか、また女性のお笑い芸人はいつから活躍しているのかも解説します。
「おもしろい」だけじゃない
お笑い芸人といえば、『おもしろさ』が強く評価される仕事です。しかし、女性のお笑い芸人には、おもしろさ以外の魅力を持ったタレントも多くいます。
例えば、お笑い芸人ではあるものの、かわいらしいルックスやおしゃれなファッションが評価され、同性からの支持を集めるケースがあります。特に、SNSでバラエティ番組とは異なる一面を見せ、話題になる人がいる傾向にあるようです。
また、お笑いコンビ『フォーリンラブ』のバービーに見られるように、子どもが住む地域の教育・衛生面をサポートするといった、社会奉仕活動をしている女性お笑い芸人もいます。
単なるお笑いの枠にとどまらない活躍を見せているのが、女性お笑い芸人の特徴です。
女性お笑い芸人は戦前から存在する
お笑いの歴史に女性が登場したのは、いつからでしょうか?歴史をさかのぼってみると、お笑い文化が始まった戦前から、女性お笑い芸人は存在していたことが分かります。
ミスワカナという芸人で、夫である玉松一郎という男性とコンビを組んで活動していたそうです。現代でも見られる夫婦漫才の原型は、ここにありました。歌も歌える多彩な芸風で、トークも巧みだったようです。
ドラマ『わろてんか』では、女優の広瀬アリスがリリコという女性芸人を演じましたが、リリコのモデルはこのミスワカナであるともいわれています。
注目度はどんどん高くなっている
近年では、多くの女性お笑いコンビ・男女ペアのお笑いコンビなどが活躍しています。この流れは、2010年ごろから大きくなっていきました。
特に、大型の賞レースにおいて顕著で、有名どころでいえば、M-1グランプリで知名度を上げたメイプル超合金・ゆにばーす・相席スタートなどです。女性お笑い芸人のNo.1を決めるTHE Wでは、ゆりやんレトリィバァ・阿佐ヶ谷姉妹などが優勝し台頭してきました。
また、バラエティ番組においても、男女ペアの芸人がよく見られるようになりました。ラランド・パーパー・蛙亭といったコンビは、人気バラエティ番組にたびたび登場しています。それだけ女性お笑い芸人の注目度が、高くなっているということでしょう。
女性お笑い芸人のランキング算出方法
女性お笑い芸人のランキングは、『株式会社アーキテクト』が実施しているタレントパワーランキングの最新調査結果をもとに抽出しました。ランキングの調査方法について紹介します。
当社独自の集計方式で算出
女性お笑い芸人のランキングは、株式会社アーキテクトが実施する業界最大規模のタレント調査『タレントパワーランキング』をもとにパワースコアを算出、こちらのデータからランキングが作成されています。
パワースコアとは、調査結果をもとに、タレントの認知度(顔と名前を知っている)と誘引率(見たい・聴きたい・知りたい)を掛け合わせた値です。
今回のランキングは、2022年に行われた調査をもとに作成しています。
女性お笑い芸人の人気ランキング
順位 | タレント名 | パワースコア | 調査時期 |
1位 | いとうあさこ | 36.3 | 2022年2月 |
2位 | 阿佐ヶ谷姉妹 | 35.5 | 2022年5月 |
3位 | 渡辺直美 | 34.8 | 2022年5月 |
4位 | イモトアヤコ | 31.3 | 2022年2月 |
5位 | 大久保佳代子 (オアシズ) |
30.9 | 2022年5月 |
6位 | 近藤春菜 (ハリセンボン) |
30.7 | 2022年5月 |
7位 | ハリセンボン | 29.5 | 2022年5月 |
8位 | 友近 | 29.2 | 2022年2月 |
9位 | 森三中 | 28.0 | 2022年5月 |
10位 | 黒沢かずこ (森三中) |
27.1 | 2022年5月 |
11位 | フワちゃん | 26.6 | 2022年5月 |
12位 | ガンバレルーヤ | 26.4 | 2022年5月 |
13位 | 箕輪はるか (ハリセンボン) |
25.5 | 2022年5月 |
14位 | 椿鬼奴 | 25.3 | 2022年5月 |
女性お笑い芸人の人気ランキングには、人気バラエティ番組でレギュラーを務めているコンビから、ピンでも活躍している人までランクインしています。それぞれの活動内容を見ていきましょう。
1972年生まれ、吉本興業所属のお笑い芸人で、NSC東京校の4期生です。バラエティ番組『世界の果てまでイッテQ!』にレギュラー出演しており、さらに女優としてドラマ・映画・舞台でも活躍中です。
音楽活動も行っていて、2018年にはソロデビューアルバムをリリース、ほかにも『金星ダイヤモンド』というバンドでも活動歴があります。
バラエティ番組でのトーク力だけでなく、ものまねも得意で桃井かおり・真矢みきなどのものまねをよく披露しています。
1980年生まれ、お笑いコンビ『ハリセンボン』のボケとして活動しています。NSC東京校の9期生です。
漫才もコントもこなす一方で、箕輪は大喜利にも強く、2022年にはバラエティ番組内の企画『IPPON女子グランプリ』で優勝した経験もあります。
ほかにも、『Qさま!!』『有吉クイズ』といった数々の人気バラエティ番組に出演し、番組を盛り上げました。
2012年に結成した、まひる・よしこの女性お笑いコンビです。吉本興業所属で、ともにNSC大阪校の35期生です。
コントを得意としており、主にネタ見せ番組で活躍していました。近年ではほんわかしたキャラクターを生かして、バラエティ番組でも姿をよく見せています。
特に活躍を見せているのは、『マツコ&有吉 かりそめ天国』『世界の果てまでイッテQ!』などの人気バラエティ番組です。
YouTuberとして人気の高いタレントで、ワタナベコメディスクール18期生でした。当初はコンビ活動もしていましたが、2017年からピン芸人として活動を始めています。
自身のYouTubeチャンネル『フワちゃんTV』が大ヒットし、2019年ごろからテレビでも活躍するようになりました。
『ウチのガヤがすみません!』『行列のできる相談所』といった人気番組への出演歴があり、2021年には『ヒルナンデス!』の月曜レギュラーに加入しています。
『QJweb』や『りぼん』でコラムも連載しており、バラエティ番組だけでなく、多方面でその才能を発揮しているタレントです。
1978年生まれで、森三中というお笑いコンビで活動しています。NSC東京校4期生の出身です。
森三中ではボケを担当することが多く、ネタ以外ではキレのある歌やダンスを披露することもあります。自身も即興作曲・即興ダンスが特技とプロフィールに記しています。
ドラマにも出ていたことがあり、『あんどーなつ(2008年)』や『嘆きの美女(2013年)』が主な出演作です。
1998年に結成されたお笑いトリオで、メンバーは黒沢かずこ・村上知子・大島美幸の3人です。主に村上がツッコミを担当し、黒沢・大島がボケを担う形を取っています。
ネタ見せ番組よりはバラエティ番組での活躍が多く見られ、『世界の果てまでイッテQ!』にはレギュラー出演しています。過去には『リチャードホール』『弾丸!ヒーローズ』といった番組でもレギュラーを務めていました。
バラエティ番組だけでなく、情報番組『ヒルナンデス!』やチャリティー番組『24時間テレビ』などにも出演し、お笑い好き以外の層からも需要が高いトリオです。
1973年生まれ、吉本興業所属のお笑い芸人です。NSC大阪校23期生で、ピン芸人として活躍しています。
これまでに第33回NHK上方漫才コンテスト優秀賞、R-1ぐらんぷり2002・2004ファイナリスト、第25回ABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞など、多くのコンテストで受賞歴がある実力の高いタレントです。
ものまねが得意で、特に中森明菜・黒柳徹子の形態模写は、そのクオリティーの高さからよく披露されています。
また、女優としてドラマにも出ており、『がんばっていきまっしょい(2005年)』『ロス:タイム:ライフ(2008年)』などで好演を見せました。
2004年にデビューしたお笑いコンビで、近藤春菜・箕輪はるかの女性2人で活動しています。箕輪がボケ、近藤がツッコミというスタイルです。
お笑いコンビ最大のコンテスト『M-1グランプリ』では、2007年に行われた第7回大会で4位という好成績を残しています。ネタだけでなく、バラエティ番組でのトークもこなし、レギュラー番組も持っています。
現在コンビでは『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』『そろそろにちようチャップリン』といった人気番組にもレギュラー出演するなど、さまざまな番組を盛り上げている人気タレントです。
1983年生まれのお笑い芸人で、箕輪はるかとお笑いコンビ『ハリセンボン』として活動しています。
コンビはもちろんピンでの活動も多く、『春菜ザキさんのタダの通販じゃね〜よ!』や『土曜スタジオパーク』など、バラエティ番組からトーク番組までこなせる器用なタレントです。
俳優の角野卓造に似ていることから、周りが「角野さ〜ん」と呼んだのに対し「角野卓造じゃねえよ!」とキレながら返すのを持ちネタにしています。
1971年生まれ、人力舎所属のお笑いコンビ『オアシズ』として、相方の光浦靖子とともに活動しています。
ピンでは『ゴゴスマ』『ノンストップ!』『上田と女が吠える夜』などに出ており、バラエティ番組から情報番組までこなすタレントです。
また、マガジンハウス『POPEYE』や集英社『Marisol』での連載経験もあり、芸人以外の活動も積極的に行っています。徳間文庫からは『美女のたしなみ』という著書も発売しています。
1986年生まれ、ワタナベエンターテインメント所属のお笑いタレントです。バラエティ番組『世界の果てまでイッテQ!』に出演した際、珍獣ハンターとして活躍したことをきっかけにブレイクしました。
現在も同番組でレギュラー出演しており、ほかにも『中国語!ナビ』やラジオ『イモトアヤコのすっぴんしゃん』などが主なレギュラーです。
女優としてドラマにも多く出演しており、『家売るオンナ(2016年)』や『下町ロケット(2018年)』といったヒット作にも登場しました。
1987年生まれ、吉本興業所属のお笑い芸人で、NSC東京校の12期生です。ビヨンセのものまねでブレイクした後は、数々のバラエティ番組に登場し人気を獲得しました。
女優としては『殺しの女王蜂(2013年)』や『五つ星ツーリスト〜最高の旅、ご案内します!!〜(2015年)』『カンナさーん!(2017年)』といったドラマへの出演実績があります。
インフルエンサーとしての顔も持ち、近年では海外での活躍も目立っています。『タイム誌』では、ネット上で最も影響力のある25人に選ばれたこともあるほどです。2016年にはワールドツアーを行い、ニューヨーク・ロサンゼルス・台北で公演しました。
木村美穂・渡辺江里子によるお笑いコンビで、ASH&Dコーポレーションに所属しています。お笑いライブのデビューは2007年のことでした。
どちらも歌唱力が高く、その歌声を生かした歌ネタをよく披露しています。コントも得意で、2018年に女性芸人のトップを決める『THE W』にて優勝を果たしました。
『ヒルナンデス!』『阿佐ヶ谷アパートメント』などのバラエティ番組へレギュラー出演しており、さらにラジオ『大竹まこと ゴールデンラジオ!』では月曜日レギュラーとして、大竹まことと一緒に番組を盛り上げています。
1970年生まれ、現在はピンで活動しているお笑い芸人です。かつては『ネギねこ調査隊』というコンビを組んでいました。
楽器を演奏しながら自虐ネタを披露したり、80年代アイドルのものまねをしたりと、多くのネタ見せ番組で多彩な芸を見せてきたタレントです。
現在は多くのレギュラー番組を抱えており、『世界の果てまでイッテQ!』『すイエんサー』『上田と女が吠える夜』『トークィーンズ』などに出演中です。
女性ならではのセンスを楽しんでみよう
女性のお笑い芸人は近年ますます増えており、メディアで見ることも多くなりました。ピン芸人もコンビ・トリオで活動している芸人も、それぞれの持ち味を生かしてバラエティ番組を中心に活躍中です。
女性ならではの点として、SNSで注目を集めたり、女優として演技を披露したりといった活動も挙げられます。
男性にはない感性・着眼点から繰り広げられるユニークなネタを楽しみ、お笑いの世界をより一層深く味わってみましょう。