今回で第9回目となる『THE RAMPAGE陣のミリオンカラー』。この連載は、THE RAMPAGEのパフォーマー兼グループのリーダーでもある陣が、エンタメ界の様々な分野で活躍する方との対談で、自身も成長しよう、そして互いの雑学を交換しようという企画だ。
今回のゲストは、お笑いコンビとして活躍するアインシュタインのボケ担当・稲田直樹さん。個性的なルックスと優しい関西弁で、周囲の人々を和ませる魅力のルーツに陣が迫った。
芸人でのブレイクを目指して、あえてすべてのバイトを辞めたら月収3万円!
陣:先日は共演させていただき有難うございました。一緒にゲームができて楽しかったです!
稲田さん(以下「稲」):楽しかったですね~!なんだか高校生に戻ったような気分でした。
陣:確かに“青春って感じでしたよね~!稲田さんと僕は、関西弁のイントネーションもマイルドで近いですよね。そもそも芸人を目指されたキッカケは何だったのですか?
稲: 20才の時に、高校の同級生から「一緒にやらへん?」って誘われてなんとなく。こんな顔をしているので(笑)、周りには自信満々で芸人になったと思われていますけどね。
陣:ということは、学生の時は今のようなキャラじゃなかったのですか?
稲:教室ではずっとおとなしくしていましたが、仲のいい5,6人だけにはギャグを言ってました。「顔が面白い」ってイジられたのを、僕が面白く言い返すので、その仲間内で多少調子に乗っていたんです。
陣:それで芸人を目指されてからは、どんな感じだったのでしょうか?
稲:まず、仕事がもらえないんです。1年間、よしもとの養成所に通ったんですが、卒業したら劇場のオーディションが月に1回あって、何百組中で合格するのは10組いるかどうか。さらに、その中で戦って実際に出られるのは上位3組だけなんですよ。
陣:それは、かなりの狭き門ですね…。
稲:だから、もうその間はラクなバイトを探すことばかり考えてましたね。
陣:ああ、時間の融通が利くバイトでないと、急な仕事が入った時に対応できないですもんね。
稲:でも、アインシュタイン結成1年目の27才に、バイトという保険があるからオーディションに落ちているんじゃないかと思いバイトを全部辞めました。ところが、実際に辞めたら明細に3万円と書かれていて、「うわっ、どうやって暮らそう」って固まってしまって、気がついたら昼に見たはずなのに夜になってました。
陣:それは大変でしたね…。じゃあ、その後はムダのない生活を工夫されたんですか。
稲:相方の河井さんが働いているバーで飲ませてもらったり、河井さんの同期の先輩方に食事をごちそうしてもらったり本当に可愛がってもらって。
陣:芸人さんは特にタテ社会だと聞いたことがあるので、後輩の面倒見もいいんですね。
漫才が好きでネタ作りが好き!厳しくしっかり者の河井さんに感謝
――陣さんの周りのダンサー志望の方たちは、どういう風に生活されていたんですか?
陣:そうですね…、僕らの場合はEXPG STUDIO(注:LDHが経営するダンススクール)に大半の子が通っていましたね。ストリートで一緒に踊っている子の中にもダンサー志望の子もいるのですが、僕らの場合はアーティストになりたいという夢を目指しました。
EXPGは、オーディションの競争率は高いけれど環境には恵まれていますね。その過程で、アーティストになったり、スタッフとして働いたり色々な道がありますね。そう考えると、芸人さんの売れるまでの環境は特殊だと思います。その昭和の感覚と言いますか…。
稲:そう、“クズ”な生き方の方が芸人っぽいという通念があるんですよね。ただ、僕は、ネタだけを考えて生きてきたので、その辺の話が苦手なんですよ。でも、漫才とコントでも断然漫才が好きです。漫才は、遊びしろが多いけど、コントは顔が邪魔しちゃって、役柄がしぼられるんですよ(笑)。
陣:確かに、稲田さんは名バイプレーヤーみたいな雰囲気がありますもんね。ネタはどちらが書いていらっしゃるんですか?
稲:一応、僕なんですけど…、恥ずかしいからあんまり言ってません(小声)。
陣:いやいや堂々と言って下さいよ!!(笑)稲田さんから見た河井さんの魅力はどこですか。相方が河井さんだったからこそ、ブレイクなさったわけですよね?
稲:はい、周りにたとえ嫌な奴と思われたとしても、僕に厳しくしてくれてブレない所が強いなと思います。あとは、髪型ですかね…なんで40を超えてあんなセンター分けの髪型ができるのか(笑)。もともと、 “刈り上げ前髪左流し”だったのですが…。
陣:なんだか柔道の技みたいですね(笑)。
稲:それがある日突然、センター分けにしてきたので、そのネタがなくなって困りました。
東京での仕事でスベっても、ライブの歓声を励みに頑張れる
陣:そんな二人がコンビを結成してブレイクし、どのタイミングで東京に引っ越しされたんですか?芸人さんの中には、東京進出を機に、ガラリと変わる方もいらっしゃいますよね。
稲:2020年の4月ですね。その前年から、東京での仕事が増えてきたので決断しましたが、僕らの場合は大阪で超売れっ子だったわけでもないんですよ。大阪でも東京でもお仕事をいただけるようになったので、住む場所を変えただけという意識なんです。
陣:交通費も大きく変わりますもんね。
稲:ただ、東京ではお笑いではない情報バラエティ番組の仕事をいただけるのですが、それがめっちゃ難しいですね。2020年と2021年は、スベリました…たくさんたくさんスベリました…(小声)。
陣:そんなにですか!?(笑)東京と大阪では進行の仕方が違うのですか?
稲:例えば、東京では感動的なVTRを見た後のコメントを求められるんです。その時に、ボケるのか、真面目に言うのか、でもこんな顔をして真面目に言うのもなぁ…と整わないまま喋ってスベるんですよ。周りではなく、すべて自分が悪いんです…。でも、いい経験だと思って頑張ります。
陣:以前、この対談(https://tpranking.com/zin-millioncolor-05)で3時のヒロインの福田麻貴さんが、「ブレイク直後が最大の低迷期で全く話がかみ合っていなかった」と仰っていたのですが、テレビではそんな素振りが全くなくて驚きました。芸人さんは僕らが思う以上に繊細な方が多いんですね。
稲:現場ではスベっていても、東京のテレビ局は編集が素晴らしいから、それをなかったコトにしてくれてるんですよ。
陣:そうやって芸人さんも日々戦っているんですね。その中で、モチベーションとなっているのはどんなことでしょうか。
稲:全国区のテレビに出ると、地方営業での歓声が確実に大きくなるんです。僕自身も小さい頃、地元にテレビで有名な芸人さんが来てくれるのがめっちゃ嬉しかったんですよ。だから、「ライブに初めて来ました」なんて言われると、気を引き締めて頑張れます。ほんと、ライブは最高!
陣:僕もインストラクターになりたいと思ってダンスを始めましたが、そのうちもっと目立ちたいから、アーティストを目指して、何万人の前でもパフォーマンスしたいと思うようになり、今その夢が徐々に叶いつつありますね。さらに、その先にはお客さんを楽しませたいと思ったり、仕事で稼いで親孝行しようと思ったりと、モチベーションは色々と増えていきます。
稲:お金は大事ですね~(しみじみ)。僕も、大ファンのL’Arc~en~Cielさんを1曲でもギターで弾けるようになりたいと思って、野性爆弾のくっきーさんに相談したら、最低でも20万円のものを買えと言われて、28万円のグレッチを現金一括で買っちゃいました!
陣:おー、スゴいです!それで、練習されているんですか?エレキギターって難しそうですね。
稲:まだ、スピッツさんの「空も飛べるはず」のイントロ数音しか弾けないんですけど、大好きな「winter fall」を弾けるようになります!
「モテないくらいで落ち込むなよ!俺を見ろ!」…今はモテています(笑)
陣:ところで、現代は“いじめ”によって命を落とす人もいます。だけど、残念ながら“いじめ“はなくなりませんよね。僕らのライブに来てくれるファンの子から、「(学校に行きたくなくても)THE RAMPAGEの音楽を聴いて学校に行けるようになった」という声をもらうのですが、稲田さんもそういったことに対するメッセージはありますか?
稲:うーん、確かに、僕らの漫才を見て、「元気になりました」って声ももらいますけど、僕にはそのつもりはないんです。それは、僕が上手く返せただけで、こんな風に乗り越えればいいんですよ、とは言えないし…。
陣:例えば、学生時代に“イジリ”の度が過ぎて“いじめ”に感じることもありますよね。でも、社会に出れば、もっと素敵なことがいっぱいあるから、その時期を乗り越えてほしいという導き方もあると僕は思うんです。ただ、そういったことをアーティストがキラキラなイメージでメッセージを発信するというのもありますが、芸人さんならではのリアルなメッセージがあればお願いします。
稲:そうですね。じゃあ僕からは、学生時代は思うようにモテないかもしれませんが、「モテないくらいで落ちこむなよ!」とは言いたいですね、まずは「俺を見ろ!」と。(笑)…そんな僕でも、昔に比べたらモテモテですよ。女性と喋れるようになりましたからね!
陣:なあるほど!一説によると、女性が男性に一番に求めるものは“面白さ”だそうですよ。
稲:それについてはちょっと言わせてください!カッコイイ人は生まれ持った性質が大きいですが、面白い人も急になれる訳ではありませんから、どっちも強く求めるのは残酷だと思っています。でも僕は、もともと “面白い”寄りの人間で良かったです! (笑)
陣:確かに、“面白い“はなろうと思ってもすぐなれるものではないですからね!
稲:いつも面白くなれる訳ではありませんが…ごめんなさい、ふわっとした回答で。
陣:いえいえ!エンタメって正解のない分野ですからね。芸人さんって、思慮深く考えていらっしゃる方が多く、稲田さんとお話ししていると凄く真面目なのが伝わってきます。
稲:エヘッ!
陣:そんなレスポンス、マンガでしか見たことありませんよ!!(笑)
タレントパワーでは「天然で面白くて存在感がある」という完璧な芸人のイメージ!
――タレントパワーランキングでは、一般の方に稲田直樹さんに関する「イメージワード」を尋ねています。そうしたところ、第1位は「天然な感じ」42.5%、第2位が「間が抜けて面白い」41.2%、そして第3位が「存在感がある」38.8%で、いずれも芸人の平均値の遥か上となっています。
陣:「天然で面白くて存在感がある」なんて芸人として完璧じゃないですか!
稲:存在感というのは、きっと顔の個性ですよね。ひな壇に沢山の芸人が黙って座っていても司会の方に振ってもらえますから。
陣:特に若い方が「存在感がある」と評価されるのは、そもそも認知されているということですからね。
――そして、第4位には「トークが面白い」も33%。そして、なんと「ビジュアルが良い」も15%と、男女ともに芸人の平均値(5%)を大きく上回っています。
稲:ビジュアルが良いって、どっちの意味ですか?(笑) でも、トークが褒められるのは嬉しいです。若手の頃から、「テレビに出られるようになっても15秒など短い時間しかもらえないから話せるようになっておきなさい」って教えてもらったのを今でも忠実に頑張っています。
陣:確かに、以前『ウチのガヤがすみません!』に出られていて、後藤さんから「腕時計の時間合ってるやん」って言われた時に稲田さんが「ナメてますん??」って一言で返せるパンチが凄いな~って思いました!
稲:でも、僕からしたら陣さんみたいにダンスが出来る方こそ学校の人気者ですよ。学生の頃から人気だったんですか?
陣:皆から友達として親しまれていましたが、モテるのとは違いましたね。本当はクールな路線で行きたかったのですが(笑)。うちのグループ(THE RAMPAGE)はイケメン揃いなので、自分に合ったキャラでやっています。
一番冷えるのはアゴなんです(笑)
――では雑学の交換をお願いします。
稲:実は最近気づいたことがあって。僕は冷え性なんですが、一番冷えるのが指先ではなく、アゴ先なんですよ…。
陣:末端が冷えるんですね!やっぱり、風が最初に当たるからですかね。
稲:東京に引っ越してから湯船に浸かるようになって、アゴが冷えているのに初めて気づきました。
陣:冷たすぎて感覚がマヒしていたんですかね。アゴにもマフラーを巻いてみたらどうですか?
稲:そうするとスペースができてしまうので上手く巻けないんです…。(笑)
陣:では、僕の方からも。稲田さん、メガネをなさっていますよね。メガネの鼻当てって、実は日本人向けに作られたものなんですよ。西洋の人って、鼻が高いからズレ落ちないんです。
稲:確かに海外ブランドのメガネで鼻当てがないものがありますよね。じんじん来ました!
陣:今後も漫才を中心にご活躍なさってください。
稲:そうですね、もし綺麗な女優さんと会えるんやったら、ドラマもやろうかな…。
陣:うわぁ、下心満載じゃないですか!(笑) いけません、真面目に行きましょう。
稲:そうですね…。
陣:(言葉が)刺さってないじゃないですか!!(笑)今日はとても楽しかったです!有難うございました!
対談を終えて
稲田さんはテレビで見る以上に真面目な方ですね。やはり一番の笑いのツボを探るからこそ、冷静に人を見ていらっしゃって、笑いの後ろにあるプレッシャーとも戦っておられ、あらためてスゴイ人だと感心しました。あと、「アゴが冷える」なんてエピソードが瞬時に出るのも、やっぱり天才です!
僕の方は、2022年を挑戦の年と言いましたが、コントや漫才はやはりハードルが高いですね。実は以前、チュートリアルさんとのイベントでコントに挑戦したのですが、芸人さんならではの“間”が難しくて、簡単に踏み入れる分野ではないなと思いました。だから、今後もこの対談を通して芸人さんから沢山学びたいです。
読者の方の中にも、この3月から4月に新しい環境に入っていくことも多いと思いますが、一人で抱え込まずに、誰もが同じ気持ちでいるということを思い出してほしいですね。
(取材:人と音楽をつなげたい音楽マーケッター 臼井孝)
稲田直樹さん(アインシュタイン)・陣さん(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)
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締切:2022年4月11日(月)
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稲田直樹さん(アインシュタイン)プロフィール
1984年12月28日、大阪府四条畷市出身。大阪NSC第28期生から、お笑いコンビ「バンパイア」、ピン芸人「いなだなおき」を経て、2010年、河井ゆずるさんにアプローチして、コンビ「アインシュタイン」を結成。2012年、R-1グランプリ決勝、2015年~2017年、2019年、2021年とM-1グランプリに5回も準決勝進出。キングオブコントも、2016年、2020年で準決勝進出。2020年4月より、大阪よしもとから東京よしもとに移籍し、活動拠点を関西から東京に移し活躍中。
公式Instagram https://www.instagram.com/inada1228/
公式YouTubeチャンネル(アインシュタイン) https://www.youtube.com/channel/UCOQbu_y-fT-_ZvzCsz1r-kw
THE RAMPAGE 陣 プロフィール
1994年4月28日生まれ、大阪府出身。THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのパフォーマー兼リーダー。これまで1100個以上の雑学を身につけ日々更新中。2022年現在、5つのレギュラー番組のMCを担当している。THE RAMPAGEとしては、4thアルバム『RAY OF LIGHT』が発売中。
公式Instagram(陣)
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公式Instagram(THE RAMPAGE)
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