男性タレント

『おちょやん』『群青領域』などで注目。若葉竜也の“大人売れ”が加速中

NHKの連続テレビ小説、そのヒロインの初恋の相手役といえば、人気俳優への登竜門だ。高畑充希主演の『とと姉ちゃん』(16年)では坂口健太郎が、有村架純主演『ひよっこ』(17年)では竹内涼真が、広瀬すず主演『なつぞら』(19年)では吉沢亮が起用され、大ブレイクへの足掛かりを掴んできた。

2021年1月に朝ドラ『おちょやん』に登場し、杉咲花演じるヒロイン・竹井千代の初恋の人・小暮真治を演じたのが、若葉竜也だ。女優を目指して鶴亀撮影所に入った千代に現場のいろはを教え、役作りのための恋人役を引き受けたことから、千代に想いを寄せられる助監督の役柄だった。この好青年を、まっすぐな瞳とソフトな語り口で演じた若葉は、全国の視聴者を魅了。「小暮沼」にハマる女性が続出した。

それから矢継ぎ早に出演映画が公開。2月にはアイドルオタクを演じた『あの頃。』(ファントム・フィルム、現在はハピネットファントム・スタジオ)、4月には下北沢の冴えない古着屋店員を演じた『街の上で』(「街の上で」フィルムパートナーズ)と今泉力哉監督作品が連続公開された。特に初主演映画である『街の上で』は、11館で封切られて9日間で観客動員1万人を突破。全国で拡大公開される人気作となった。また4月には、松居大悟監督の『くれなずめ』(東京テアトル)で成田凌、高良健吾らと同級生役で共演して存在感を放った。

さらに7月には、Amazon Musicが音楽と短編映画を同時に制作・配信するプロジェクト「Amazon Music presents Music4Cinema」に参加。短編映画『余りある』に主演し、白石聖とラブストーリーを繰り広げた。

そして10月からは、NHKドラマ『群青領域』に出演。シム・ウンギョン演じる主人公のミュージシャンが、逃避行した田舎町で出会う元カメラマンの青年・小木曽蓮役を好演している。

大衆演劇の子役として、1歳でキャリアをスタート

現在32歳の若葉は、大衆演劇「若葉劇団」の家系に生まれ、1歳3ヶ月で初舞台を踏んだ。映像デビューは、1998年、小学3年生のとき。NHK大河ドラマ『徳川慶喜』で慶喜の幼少期・七郎麿役に抜てきされて注目を集めた。高校生になった2004年には、石田衣良原作、廣木隆一監督によるWOWOWドラマ『4TEEN』に主役の1人・ジュン役で出演。以降、『野ブタ。をプロデュース』(05年)、『マイ★ボス マイ★ヒーロー』(06年)、『ごくせん(第3シリーズ)』(08年)などの学園モノに多数出演していく。その後も映画『GANTZ』シリーズ(10年〜11年)などに出演するが、オーディションを受けてもなかなか受からない不遇の時代があった。

福田雄一、今泉力哉ら気鋭監督に重用されて躍進

飛躍の足掛かりを掴んだのは、2013年のムロツヨシプロデュース公演『muro式.7ショートストーリーオムニバス「∴」―ユエニ―A=B B=C ∴A=C』への出演。このとき脚本で参加していた福田雄一監督に評価され、2014年の福田監督によるムロ初主演連ドラ『新解釈・日本史』(TBS系)にレギュラー出演した。以降、映画『明烏 あけがらす』(15年/ショウゲート)、『勇者ヨシヒコと導かれし七人』(16年/テレ東系)、『スーパーサラリーマン佐江内氏』(17年/日テレ系)などに呼ばれ、福田組の常連となった。

この時期、オーディションで勝ち取ったのが、赤堀雅秋監督の映画『葛城事件』(16年/ファントム・フィルム)だ。無差別殺人を起こす青年・葛城稔役でTAMA映画賞最優秀新進男優賞を受賞した。

さらに転機といえるのが、2019年の今泉力哉監督映画『愛がなんだ』(エレファントハウス)だ。深川麻衣演じる美女に都合良く扱われながらも好意を寄せ続ける青年・仲原青役を好演して注目度を上げた。続く20年には、石井裕也監督の『生きちゃった』(フィルムランド)、河瀨直美監督の『朝が来る』(キノフィルムズ)、土井裕泰監督の『罪の声』(東宝)など5本の映画が公開され、2021年の『おちょやん』から始まる飛躍に繋がった。

20代後半の女性から高いタレントパワーを獲得

若葉竜也タレントパワー推移 女性 25~29歳

2021年の若葉のタレントパワーを見ると、2月に7.9%だった認知度が、8月に8.1%に伸びている。特に伸びているのは、もともと高い数値を示している女性25~29歳の層だ(上グラフ)。朝ドラ放送時の2月は認知度28.0%だったが、放送後の8月には32.0%に。「見たい、知りたい」の指標である誘引率は71.4%から87.5%に跳ね上がり、パワースコア(認知度に誘引率を掛け合わせて算出)は12.0%から18.7%に上昇した。

若葉竜也イメージワード女性(25~29歳)

その女性25~29歳の層は、若葉にどんなイメージを抱いているのか。1位は62.5%で「演技力がある」、2位は43.8%で「個性的な」、3位は37.2%で「落ち着いた」となっている。演技力と個性を併せ持つ、落ち着いた大人の男優として評価されているようだ。

主役も託される「大人売れ」に期待

若葉竜也イメージワード全体

それでは、全年齢の男女を対象に調査したイメージワードの結果はどうか。1位は「クールな感じ」で29.2%、2位は「落ち着いた」「さっぱりとした」が同率で28.1%となった。以降、「演技力がある」「個性的な」「センスが良い」と続く。男優(男性タレント)の平均である折れ線グラフと比較すると、「クールな感じ」「さっぱりとした」「センスが良い」などが上回っていることが分かる。

イメージが近い相似タレントとしてデータが弾き出されたのは、淵上泰史、松田凌、小松利昌と、個性派のバイプレイヤーが中心。女性25~29歳のみに絞って相似タレントを調べると、井浦新、綾野剛、窪田正孝らの名前が挙がった。いずれも20代後半から30代に全国区でブレイクした「大人売れ」の俳優ばかり。彼らに続く主役級に成長することが期待される。

2022年は、『あゝ、荒野』の岸善幸監督による映画『前科者』(日活、WOWOW)が1月28日から公開。若葉は、森田剛演じる“前科者”の前に突如現れる謎の男・実にふんする。シルバーヘアの特殊な風貌で、物語の鍵を握る重要人物を演じており、衝撃的なシーンも多数。さらに評価を高める1作になりそうだ。

若葉竜也(わかば・りゅうや)

誕生日 1989年6月10日
出身地 東京都
所属事務所 N・F・B
公式サイト http://www.ryuya.net
事務所サイト https://nfbnfb.co.jp/actor/ryuya_wakaba/
公式インスタグラム https://www.instagram.com/ryuya_wakaba.official/