『臼井孝のヒットは複眼で探せ！タレントパワーランキング編』
話題のアーティストのセールス状況や新作の内容、タレントパワーランキングを見ながら、そのヒット傾向を読み解く『臼井孝のヒットは複眼で探せ！タレントパワーランキング編』。第103回目は、ミュージカルやドラマでも大活躍中の松下洸平に注目。
ペインティング・シンガーソングライター、舞台俳優を経て、2019年に朝ドラでブレイク！
松下洸平は、1987年3月東京都八王子出身で、2008年に得意な描画を活かし、なんと“ペインティング・シンガーソングライター・洸平”としてCDデビューを果たした。ただ、R&Bをベースとした歌い方と、シンガーソングライターというイメージのギャップ、さらに歌いながら絵も描けてしまうというスタイルが理解されず、才能がありつつも2作のシングルがいずれもCDランキングTOP200圏外となる。
その後、2009年からミュージカルを中心に舞台活動を重ね、平成30年度（第73回）文化庁芸術祭の演劇部門にて新人賞を受賞するなど高い評価を得ていた。そして、2019年秋、朝の連続テレビ小説『スカーレット』にてヒロインの相手役に抜擢され、その穏やかな人柄から“沼落ち”したという女性が続出しブレいう、以降はテレビドラマにてほぼレギュラー的に重要な配役を務めている。
ミニアルバム『あなた』 初回限定盤（40ページ撮りおろしPHOTOBOOK付き 三方背ブックケース仕様）
2021年に松尾潔プロデュースで音楽活動を再開、CDヒットの常連に
さらに、その人気を生かして2021年からは音楽活動を再開し、2021年8月にシングル「つよがり」にて松下洸平としてデビュー、12月にミニアルバム『あなた』をリリースし、いずれもCD週間チャートにてTOP10入りし、アーティストとしてもブレイクを果たした（前者が8位、累計1.4万枚、後者が7位、累計1.5万枚で以降も更新中）
楽曲の方は、「つよがり」「あなた」ともに洸平名義でリリースしていた際と同様にR&Bテイストのバラード。しかも、今回は2作ともCHEMISTRYや平井堅をブレイクさせた松尾潔がプロデュースしており、切なさと愛しさが交差する歌詞は流石に上手いし、そこに松下のミュージカル経験を経た感情的な歌声は、松尾作品としてもかなり濃厚な作品に仕上がっている。
CDのカップリングには自作曲も披露、俳優よりも熱い歌声や歌詞が堪能できる傑作
また、どちらのカップリングにも、松下自身が作詞・作曲を手がけた楽曲が収録されていて、俳優としての穏やかで素直なイメージよりも、より情熱的な人柄が歌詞や歌声から垣間見えるのが興味深い。特にミニアルバムのラストに収録された「旅路」での夢にもがいている様子は、自伝的にも聞こえて胸が熱くなった。初回盤には、40ページのフォトブックもあるので（こちらは、ただ佇んでいるだけなのに、何か話しかけたくなるような写真が多い）、目と耳で彼の魅力を深掘りできることだろう。
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- 左：過去1年間のタレントパワースコアの推移
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- 右：2021年11月時点での全体、男女別のパワースコア
タレントパワースコアでは幅広い女性に大人気！「さわやか」で「優しい」イメージが定着
そんな彼のタレントパワースコアを見ると、全体ではこの1年半で7ポイントから約20ポイントと3倍近くに増えている。「そこそこ人気で知られている」というスコアが15ポイントなので、国民全体で見ても人気者といって間違いないだろう。
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- 左：女性×年代別でみたタレントパワースコア
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- 右：男性×年代別で見たタレントパワースコア
さらに驚くべきは、男性の倍以上となっている女性のスコアで、ブレイクから3年足らず、しかも30代半ばにして、20代から60代まで幅広い女性から支持を得ていることが分かる。やはり、NHKの朝ドラからブレイクしたことが大きく、さらにそこから人気を落とさず、レギュラー的に出演し続けていることが大きいだろう。また、その女性が彼に持つイメージワードを調べてみると「さわやかな」「優しい」「さっぱりとした」「誠実な」というドラマの配役通りの好青年というイメージが定着していることが分かる。
全女性で見た 松下洸平の イメージワード (折れ線は全タレントの平均値)
今後、音楽活動から更にイメージの広がった魅力も伝わりそう
他方、ここでは「力強い」や「包容力がある」は低スコアとなっているが、これらは彼の楽曲を聴いてみれば、かなり払拭されるのではないだろうか。ともあれ、幅広い年代から注目を浴びているのは大きな武器でもあるので、今後さらに新たな一面を俳優としてアーティストとして魅せていくことを大いに期待したい。
ミニアルバム『あなた』 通常盤ジャケット画像
著者プロフィール
うすい・たかし。1968年京都府出身。特技は1975年以降のバースデーソング占い(笑)。地元大学大学院理学研究科修了、専攻は理論化学（だったはず）。総合化学会社、音楽系広告代理店での数値解析やマーケティング実務を経て、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、音楽分析や配信サイトの選曲、コンピレーションや復刻CDの企画のほか、日経エンタテインメント！やfumufumu news、共同通信加盟社の各地方の新聞等で愛と情熱に満ちたコラムを執筆。Twitterは @t2umusic（よかったらフォローして下さい♪）
コミュニティFM「渋谷のラジオ」にて水曜12時から『渋谷のザ・ベストテン』というベテラン・アーティスト中心の音楽番組を生放送でお送りしています。専用アプリから全国で生放送が聴けますし、過去のトーク部分は番組の（『渋谷のザ・ベストテン』note） から聴くことができます。よろしければ♪また、このうちプレイリスト #おとラボの説明をSpotify ポッドキャストにて実施中。こちらも好評(?)です！
☆各種ストリーミングサービスにて大人向けのプレイリスト『おとラボ』を選曲しています♪
これまでのまとめはコチラ
☆卒業タイムトラベル～旅立ちと別れの春へ
☆決定版 デュエット＆コラボ
☆ロングヒット中（第13弾：絶品！絶唱！このカバーがスゴい！名曲COVERS）
