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五輪閉会式や紅白出演、ドラマ主題歌と実績を重ね、デビュー3年にして幅広い女性人気のmilet

『臼井孝のヒットは複眼で探せ!タレントパワーランキング編』

話題のアーティストのセールス状況や新作の内容、タレントパワーランキングを見ながら、そのヒット傾向を読み解く『臼井孝のヒットは複眼で探せ!タレントパワーランキング編』。第104回目は、女性シンガーソングライターのmilet(ミレイ)に注目。

デビュー曲「inside you」がいきなりCDと配信でヒット

milet(本名や生年は非公表)は、2019年3月に「inside you」にてメジャー・デビュー。

本作は本人が作詞作曲を手がけ、ONE OK ROCKのToruがプロデュースしたロッカ・バラードだが、ハスキーな低音と透明感のある高音を併せ持つ存在感のあるボーカルや、自然な英語の発音で存在感を示し、同作を収録したEPはオリコンCDアルバムチャートで16位、累計1.5万枚、また同時にダウンロードは10万件以上、後にストリーミング3千万回再生突破(配信データはいずれも日本レコード協会調べ)となった。

どの聴き方でもヒットしていることから、この時点で既に幅広い年代からの支持が読み取れる。

1stアルバム『eyes』がロングヒットし2年かけて累計10万枚へ

そして、その後も、1年間の間に『Wonderland』『us』、『Drown/You&I』、『Prover/Tell me』とデビューから1年間の間に5作ものEP盤をリリースし、特にドラマ『偽装不倫」主題歌となった「us」は、ドラマタイアップ曲だった「inside you」(ドラマ『JOKER×FACE』)同様に、こちらもCD1万枚、10万ダウンロード、ストリーミング3千万回再生を突破している。これは、ドラマ性の高い表現力や、耳に残りやすい歌声の効果も大きいだろう。その勢いもあって、2020年6月発売の1stアルバム『eyes』は、オリコン週間アルバム1位となった。

特に驚くべきは、初動は2.7万枚の売上ながら、2022年時点もTOP100前後を推移し、2月末時点で9.2万枚と初動の3倍以上も伸びていることだ。それだけ長く着実に愛され続けているということだろう。

NHK紅白や東京五輪閉会式の大舞台を経て2ndアルバム『visions』も順調にヒット

1stアルバム発売以降は、やはりドラマ主題歌の起用(ドラマ『七人の秘書』『ハコヅメ』)、2020年、2021年と年末のNHK紅白歌合戦への出場、さらに東京五輪の閉会式での歌唱や、北京五輪をはじめとするNHKウィンタースポーツテーマソングへの起用と、大型タイアップや大舞台を次々と経験していることが興味深い。それだけ、スケール感のあるジャンルレスな歌声が評価されているということだろう。

その勢いもあって、2022年2月発売の2ndアルバム『visions』は、発売3週間で3.9万枚の売上に。1stアルバムは3週時点4.0万枚とほぼ同等で、なおかつストリーミング人気が急伸していることも考えると、十分な及第点だろう。

miletのタレントパワースコア 

タレントパワーでは男性より女性、しかもデビュー3年にして既に幅広い年代に人気

そんなmiletのタレントパワーのスコアを見ると、全体で9.6ポイントと、誰もが知る基準となる20ポイントの約半数ではあるものの、2020年の調査開始以来、一度も下がることなく着実に伸びている。つまり、決して東京五輪で急に注目された訳ではないのだ。

さらに注目すべきは、男性よりも女性ファンの方が多いということ、しかも10代から50代あたりまで大きな偏りがなく幅広く支持されている。これは、ドラマ主題歌の起用や、00年代にブレイクしたLOVE PSYCHEDELICOや鬼束ちひろを想起させるような楽曲の世界観が大きな要因となっているのかもしれない。


miletのタレントパワースコア

アルバムやLIVEを通して2022年、さらに幅広いリスナーに支持されそう

2ndアルバムは、ドラマ主題歌となった「Who I Am」、「Ordinary days」といったJ-POP的なアプローチのヒット曲に加え、「SEVENTH HEAVEN」「Fly High」といった北欧系のダンスポップス、アデルやシェリル・クロウのようなファンも好みそうな英語曲の「Loved by you」「Come Here」など、洋楽的なアプローチの楽曲も多い。特に、暗闇にそっと光を灯すような、シンプルだけと温かいバラードの「The Hardest」に、彼女の今後の可能性を大いに感じさせる。

2022年は、1月から3月にかけて全国11公演のLIVE TOURを実施し、春夏にはフェスへの出演オファーもきっと多いことだろうし、更に男性ファンやロックファンにも支持を広げそうな気がする。

milet 2ndアルバム『visons』(通常盤) ジャケット画像

 

 

 

著者プロフィール

うすい・たかし。1968年京都府出身。特技は1975年以降のバースデーソング占い(笑)。地元大学大学院理学研究科修了、専攻は理論化学(だったはず)。総合化学会社、音楽系広告代理店での数値解析やマーケティング実務を経て、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、音楽分析や配信サイトの選曲、コンピレーションや復刻CDの企画のほか、日経エンタテインメント!やfumufumu news、共同通信加盟社の各地方の新聞等で愛と情熱に満ちたコラムを執筆。Twitterは @t2umusic(よかったらフォローして下さい♪)

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