俳優の「実力派」とは?
まずは、『実力派』といわれる俳優には、どんな特徴があるのかを解説します。演技力や表現力、キャラクター作りについて見ていきましょう。
肝となるのは「演技力」
俳優が『実力派』といわれるには、演技力が欠かせません。かつては演技力のない俳優でも、イケメン・美人など容姿が良ければ、ドラマ・映画に主役として出演することができました。
しかし近年では、容姿ではなく演技力が評価されるケースが増えています。個性的で独特な印象を残す俳優の作品は、話題になることが多い傾向です。
また脇役も注目されるようになり、演技力がある名脇役は作品を支える、なくてはならない存在となっています。
心を揺さぶる「表現力」
実力派俳優にとって、人の心を動かす表現力も大事な武器です。与えられたセリフを話すだけでなく、喜怒哀楽を体・表情を使って表現します。
視聴者が作品に惹き付けられるのは、俳優自身が実際に怒ったり悲しんだりしている気持ちが、視聴者に伝わるからでしょう。
役になりきり、表情・行動・セリフの言い回しなどから感情を伝えるのはもちろん、セリフがなくても表情・行動のみで感情を表現できるのも、実力派俳優の特徴です。
役柄の「キャラクター」も大切な要素
実力派俳優として認められるには、役柄にハマったキャラクター作りが欠かせません。しっかりした性格やだらしない性格など、それぞれのキャラクターが持つ性格を表現することも大切です。
実力派俳優は役柄に合わせるために、ボディメイクに励むこともあります。その役柄はどんな性格なのか、どんな生活を送っているのかを想像しながら役作りをするのです。実力派俳優は、役にハマるための研究がうまい人ともいえます。
実力派俳優ランキングの算出方法
実力派俳優ランキングは、『株式会社アーキテクト』が実施しているタレントパワーランキングの最新調査結果をもとに抽出しました。詳しい集計方法を紹介します。
当社独自の集計方式で算出
実力派俳優ランキングは、株式会社アーキテクトが実施する業界最大規模のタレント調査『タレントパワーランキング』に登録されている、男性・女性タレントの『演技力がある』イメージでスコアを算出し、こちらのデータからランキングが作成されています。
世間が実力派とイメージを持つ俳優を人気順に、20代・30代・40代の年齢別上位5名ずつ選出し、ランキング形式でまとめました。
今回のランキングは、2022年度に行われた調査をもとに作成しています。
【20代】実力派俳優ランキング
順位 | タレント名 | 「演技力がある」スコア | 調査時期 |
1位 | 神木隆之介 | 66.1 | 2022年 |
2位 | 菅田将暉 | 66.0 | 2022年 |
3位 | 岡山天音 | 64.7 | 2022年 |
4位 | 仲野太賀 | 63.9 | 2022年 |
5位 | 志田未来 | 61.9 | 2022年 |
20代の実力派俳優ランキングには、子役の頃から活躍する俳優がランクインしました。それぞれ、具体的に見ていきましょう。
1993年生まれ、神奈川県出身の女優です。6歳のときに児童劇団に入団し、子役時代からドラマ・映画に出演していました。現在では、多くの人が認める実力派俳優に成長しています。
12歳のときに、『女王の教室(2005年)』で連ドラ初レギュラーを獲得しました。『14才の母(2006年)』では連ドラ初主演を果たし、史上最年少の13歳で橋田賞新人賞を受賞しました。当時から、実力派の名に合った演技力を持っていたことがわかります。
ほかにも、『監察医 朝顔(2019年)』『ファーストペンギン!(2022年)』などのドラマや、『ラプラスの魔女(2018年)』『窓辺にて(2022年)』などの映画で、さまざまな役柄を演じています。
1993年生まれ、東京都出身の俳優です。俳優・中野英雄を父に持ち、13歳のときに『新宿の母物語(2006年)』でデビューしました。以前の芸名は『太賀』でしたが、2019年6月から『仲野太賀』で活動しています。
これまでに『仰げば尊し(2016年)』『今日から俺は!!(2018年)』『#家族募集します(2021年)』など数々のドラマに出演したほか、『桐島、部活やめるってよ(2012年)』『すばらしき世界(2021年)』といった話題の映画にも登場しました。
第45回日本アカデミー賞では優秀助演男優賞を、第64回ブルーリボン賞では助演男優賞を受賞している、業界内の評価も高い実力派俳優です。
1994年生まれ、東京都出身の俳優です。15歳のときに『中学生日記(2009年)』でデビューし、オーディションに落ち続けるという経験がありながらも、実力派俳優と呼ばれるまでに成長しました。
ドラマ『99.9-刑事専門弁護士-(2016年)』『同期のサクラ(2019年)』『ミステリと言う勿れ(2022年)』などに出演したほか、『ヴィレヴァン!』シリーズでは主演を務めています。
映画には『インターミッション(2013年)』『青くて痛くて脆い(2020年)』『キングダム2 遥かなる大地へ(2022年)』などの代表作があります。舞台に出演することもあるので、生の演技を見たい人はチェックしましょう。
1993年生まれ、大阪府出身の俳優です。16歳のときに『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト(2008年)』のファイナリストに残り、2009年に『仮面ライダーW』で主演デビューしました。
ドラマは『獣医ドリトル(2010年)』『サマーレスキュー~天空の診療所~(2012年)』『3年A組―今から皆さんは、人質です―(2019年)』など、映画は『暗殺教室(2015年)』『糸(2020年)』などがあります。
また歌手活動も行っており、『まちがいさがし(2019年)』『虹(2020年)』などの代表曲を持っています。
20代の実力派俳優ランキングで1位に輝いたのは、神木隆之介です。
1993年生まれ、埼玉県出身の俳優です。2歳でCMデビューを、5歳のときに『グッドニュース(1999年)』でドラマデビューをしました。
2005年には映画『妖怪大戦争』で主演を務め、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました。『桐島、部活やめるってよ(2012年)』『3月のライオン(2017年)』も見逃せない代表作です。
ドラマでは『探偵学園Q(2007年)』『学校のカイダン(2015年)』『妻、小学生になる。(2022年)』などに出演しました。主演も助演もそれぞれに違った印象を残す、今後も期待大の実力派俳優です。
【30代】実力派俳優ランキング
順位 | タレント名 | 「演技力がある」スコア | 調査時期 |
1位 | 安藤サクラ | 71.2 | 2022年 |
2位 | 柄本時生 | 69.5 | 2022年 |
3位 | 柳楽優弥 | 69.4 | 2022年 |
4位 | 山田孝之 | 69.0 | 2022年 |
5位 | 柄本佑 | 67.8 | 2022年 |
30代の実力派俳優ランキングには、柄本時生と柄本佑の兄弟がランクインしました。柄本佑は1位の安藤サクラの夫でもあり、実力派俳優の家系です。それぞれどんな作品に出演しているのか、見ていきましょう。
東京都出身の俳優で、父親は俳優・柄本明、母親は女優・角替和枝であり、実力派と呼ばれる親のもとで育ちました。デビューは、2003年の映画『美しい夏キリシマ』です。
映画では『子宮の記憶 ここにあなたがいる(2007年)』『ラッシュライフ(2009年)』で独特の存在感を放つ演技が見られます。
代表的なドラマには、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房(2010年)』や『天国と地獄 ~サイコな2人~(2021年)』があります。演技の幅が広いので、年齢を重ねながらさらに演技に磨きをかけていくでしょう。
1983年生まれ、鹿児島県出身の俳優です。代表作には、ドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ(2004年)』『白夜行(2006年)』『闇金ウシジマくん(2010年)』などがあります。
感動系のドラマに出演することが多かった山田孝之ですが、『闇金ウシジマくん』ではこれまでと見た目も性格も全く異なる非情な役柄を演じました。
代表的な映画は、『電車男(2005年)』『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー(2019年)』『新解釈・三國志(2020年)』です。年齢を重ねることで、深みが増した俳優でもあります。
1990年生まれの俳優です。デビュー作である『誰も知らない(2004年)』では、カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞しました。日本人初、当時の史上最年少と瞬く間に話題になった俳優です。
その後は『星になった少年(2005年)』『最後の命(2014年)』などで主役を演じており、『闇金ウシジマくん Part2(2014年)』『銀魂(2017年・2018年)』シリーズでの助演も見ものです。
『ゆとりですがなにか(2016年)』『おんな城主 直虎(2017年)』『二月の勝者-絶対合格の教室-(2021年)』 などのドラマにも出演しています。
1989年生まれ、東京都出身の俳優です。5位にランクインした柄本佑の弟で、映画『すべり台(2005年)』でデビューしました。
出演映画には、『ホームレス中学生(2008年)』『超高速!参勤交代(2014年)』『バイプレイヤーズ 〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜(2021年)』などがあります。
『リアル脱出ゲーム(2013年)』『透明なゆりかご(2018年)』『真犯人フラグ(2021年)』などのドラマもチェックしましょう。さまざまな役柄を演じ分けるため、今後も活躍が期待できる俳優です。
1986年生まれ、東京都出身の俳優です。5位の柄本佑の妻で、俳優・奥田瑛二とエッセイスト・安藤和津の娘です。映画監督・安藤桃子は姉にあたり、芸能一家で演技力を磨きました。
ドラマで見かけることも多く、NHK連続テレビ小説『おひさま(2011年)』や、『ゆとりですがなにか(2016年)』『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~(2019年)』などに出演しました。
映画では『かぞくのくに(2012年)』『DESTINY 鎌倉ものがたり(2017年)』が代表作で、2023年には『怪物』への出演が予定されています。
【40代】実力派俳優ランキング
順位 | タレント名 | 「演技力がある」スコア | 調査時期 |
1位 | 江口のりこ | 72.6 | 2022年 |
2位 | 堺雅人 | 72.0 | 2022年 |
3位 | 浅野忠信 | 67.2 | 2022年 |
4位 | 藤原竜也 | 66.7 | 2022年 |
5位 | 吉田羊 | 65.2 | 2022年 |
40代の実力派俳優ランキングには、印象的な存在感を残す俳優が選ばれました。芸歴も長く、日本の役者業界を牽引する俳優たちなので、過去の作品にも注目していきましょう。
福岡県出身、1997年にデビューした女優です。舞台で経験を積み、演技力を磨きました。NHK連続テレビ小説『瞳(2008年)』に出演した際、俳優・中井貴一の目に止まり、その後次々とドラマ・映画などへ登場し始めます。
『HERO(2014年)』での検事役から人気に火が付き、『コウノドリ(2015年)』『凪のお暇(2019年)』『妻、小学生になる。(2022年)』でも光る演技を見せ、話題になりました。
映画『ビリギャル(2015年)』『ハナレイ・ベイ(2018年) 』『沈黙のパレード(2022年)』なども必見です。
1982年生まれ、埼玉県出身の俳優です。15歳のときに蜷川幸雄演出の舞台『身毒丸』でデビューし、ドラマ・映画・舞台に引っ張りだこの俳優となりました。若手の頃から活躍し、今では40代のベテラン俳優です。
『バトル・ロワイヤル(2000年)』『デスノート(2006年)』『僕だけがいない街(2016年)』などのヒット映画に多数出演しています。
ドラマでも主役を演じることが多く、『新・星の金貨(2001年)』『そして、誰もいなくなった(2016年)』『青のSP―学校内警察・嶋田隆平―(2021年)』などで主演を務めています。
1973年生まれ、神奈川県出身の俳優です。1988年に『3年B組金八先生』でドラマデビュー、1990年には『バタアシ金魚』で映画デビューを果たしました。難しい役柄にも挑戦していることが、実力派俳優と呼ばれる理由といえるでしょう。
映画では『母べえ(2008年)』『寄生獣(2014年)』『日本独立(2020年)』などの映画に出演したほか、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド(2013年)』といったハリウッド映画でも活躍する、日本を代表する実力派俳優です。
映画に出演することが多い浅野忠信ですが、ドラマでは『刑事ゆがみ(2017年)』やNHK連続テレビ小説『おかえりモネ(2021年)』などで、存在感のある演技が見られます。
早稲田大学に入学後、『劇団オレンジ』の看板俳優として舞台活動を行っていました。人気俳優となったきっかけは、2004年のNHK大河ドラマ『新選組!』です。
その後は2年連続で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞するなど、実力派俳優として知られることになりました。『リーガル・ハイ(2012年)』や『半沢直樹(2013年)』、NHK大河ドラマ『真田丸(2016年)』などの話題作で、主演を務めた実力派俳優です。
映画でも存在感のある演技を見せており、『南極料理人(2009年)』『DESTINY 鎌倉ものがたり(2017年)』でも主役を演じています。
40代の実力派俳優ランキング1位に選ばれたのは、江口のりこです。
1980年生まれの兵庫県出身、印象に残る個性的な役柄を演じることが多い女優です。映画女優を目指して劇団に入団し、2002年には晴れて『金融破滅ニッポン 桃源郷の人々』で映画デビューを果たしました。
映画『月とチェリー(2004年)』で主演を務めたほか、『嫌われ松子の一生(2006年)』『君へのメロディー(2010年)』『PとJK(2017年)』にも出演しました。
ドラマには、『時効警察』シリーズや『こうのとりのゆりかご〜「赤ちゃんポスト」の6年間と救われた92の命の未来〜(2013年)』、『ドラゴン桜(2021年)』などの代表作があります。
実力派俳優の本気の演技を楽しもう
実力派俳優ランキングには、ドラマ・映画で存在感を放つ俳優が選ばれました。20代には子役から活躍する俳優が、30代には柄本兄弟や安藤サクラといった芸能一家をはじめ、お茶の間でも人気のある俳優がランクインしました。
40代にはどんな役柄もこなす俳優が選ばれており、イケメン・美人などの見た目だけでなく、確かな演技力を有する人が多いことがわかります。
役柄ごとに異なる表情を見せる実力派俳優たちの演技は、作品にのめり込む大切な要素です。今後の作品にも注目しましょう。