7月24日からWOWOWプライム/WOWOW 4Kで放送がスタートした『連続ドラマW 黒鳥の湖』に藤木直人が演じる主人公の娘役として出演しているのは、現在15歳の服部樹咲(読み方は「はっとりみさき」)です。彼女は昨年公開された映画『ミッドナイトスワン』でヒロインを演じて、今年1月に発表された「第44回日本アカデミー賞新人俳優賞」を受賞しました。クラシックバレエの才能の持ち主としても話題を集めている、期待の大型新人女優・服部樹咲のプロフィールを紹介したいと思います。
◇服部樹咲(はっとり・みさき)
誕生日 2006年7月4日
出身地 愛知県
身長 170cm
所属事務所 フラーム
公式サイト https://www.flamme.co.jp/actress/profile.php?talentid=24
彼女の所属事務所は、フラームです。2018年に設立20周年を迎えた芸能事務所で、その社名には「若葉のような輝き/きらめき」という意味があります。事務所の設立当時から所属している女優には広末涼子や西山繭子がいるほか、山口紗弥加、戸田恵梨香、徳永えり、福田麻由子、有村架純、山口まゆ、松本穂香、唐田えりからの女優が所属。昨年から元・TBSアナウンサーの田中みな実も一員に加わりました。服部は映画『ミッドナイトスワン』の公開後、2020年から所属しています。
日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞して一躍注目の存在となり、服部樹咲がツイッターやインスタなどのSNSの発信をしているかどうかを調べた人も多かったようです。2021年7月現在、まだ彼女はSNSでの発信をしていません。最新情報については所属事務所フラームの公式サイトや公式インスタグラムに掲載されています。
学校に通っているときなど普段の彼女は、どんな女の子なのでしょうか。インタビュー記事によると、「趣味はBLACKPINKなどのダンスを踊ること。好きな食べ物はフルーツ」(『スポーツ報知』2020年10月2日配信)。170cmと身長にも恵まれていて、女優では新垣結衣(169cm)、長澤まさみ(168cm)よりも長身です。
多くのバレエコンクールで活躍
女優活動をスタートするまでは、バレエ教室に通ってバレエコンクールで活躍してきました。2016年に「第76回NAMUEバレエコンクール名古屋」で第1位、2017年と2018年には2年連続で「ユースアメリカグランプリ」(9~19歳を対象とした世界最大級の国際バレエコンクール)の日本ファナルに進出。一般財団法人NBAバレエ団が主催する「NBAジュニアバレエコンクール東京2018」でも第1位に輝きました。
女優の中には、小さい頃からバレエをやっていた人が少なくありません。その代表としては、蒼井優、生田絵梨花(乃木坂46)、石橋静河、門脇麦、久間田琳加、佐々木希、古川琴音らがいます。
服部樹咲は4歳のときにバレエを始めて、ずっとバレエの道に進もうと考えていましたが、ドラマを見ていて「自分ならどう演じるだろう」と考えて演技に興味を持つようになり、映画『ミッドナイトスワン』のオーディションに応募。それまで演技の経験はまったくありませんでしたが、数百人の参加者の中から選ばれて、見事にヒロイン役を射止めます。
『ミッドナイトスワン』ヒロイン役で女優デビュー
『ミッドナイトスワン』は、伊藤沙莉が主演した映画『獣道』や山田孝之が主演したNetflix作品『全裸監督』などで知られる内田英治が脚本・監督を手がけた映画で、草彅剛が主演。新宿のニューハーフショークラブで働くトランスジェンダーの主人公・凪沙が、親戚との奇妙な2人暮らしを始める物語で、母のネグレクトを受けて育ち、遠い親戚にあたる凪沙に預けられるヒロイン・一果を服部が演じました。
映画の中には一果がバレエの練習をするシーンがあり、服部は持ち前のバレエの才能を発揮しています。ヒロインのオーディションは、バレエ経験者を前提に行われました。ただし、映画の役柄上ではバレエをうまく踊ってはいけないので難しかったようです。
オーディションでの彼女の様子や起用理由について内田英治監督はインタビューで、「目の前に立った時に、(服部さんにしようと)ほぼほぼ決めていた気がします。放っているものがありました。最初、どこかの島で育った田舎の子かなと。そんな雰囲気でしたが、実際は東京のど真ん中に住んでいて、東京でもこういう子がいるんだなと思いました」(マイナビニュース2020年9月26日配信)と話しています。
『ミッドナイトスワン』は日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞。ヒロインを演じた服部樹咲の演技も高く評価されて、第44回日本アカデミー賞新人俳優賞、第45回報知映画祭新人賞、第33回日刊スポーツ映画大賞・新人賞、第30回日本映画批評家大賞・新人女優賞を受賞しました。今年4月18日放送の『行列のできる法律相談所』(日テレ系)に日本アカデミー賞で注目を集めた新人女優としてゲスト出演して、映画で共演した草彅剛とのバラエティ初2ショットがSNS上でも話題を呼びました。
日本アカデミー賞は主演女優などのそのほかの部門にはノミネートされた中から最優秀賞が選ばれますが、新人俳優部門だけは最優秀賞の選出がなく、複数の男女俳優に賞が授与されます。これまでに新垣結衣・吉高由里子・上白石萌音・広瀬すず・橋本環奈・浜辺美波・上白石萌歌(受賞年度順)など多くの女優がこの賞に輝き、映画やドラマの主演級に成長しています。
今年発表された第44回日本アカデミー賞では服部樹咲のほかに、NHK朝ドラ『おかえりモネ』に出演中の蒔田彩樹、同じく朝ドラに出演しているKing&Princeのメンバーでもある永瀬廉、ドラマ『この恋あたためますか』(TBS系)で主演した森七菜、ドラマ『中学聖日記』(TBS系)でデビューした岡田健史、映画『MOTHERマザー』に出演した奥平大兼が受賞しました、この中でデビュー作で受賞したのは、服部と奥平の2人だけです(女優では唯一)。まったくの新人ながら、抜群のインパクトを与えたことがわかります。
現在放送中のドラマ『黒鳥の湖』は、宇佐美まことのミステリー小説が原作で、過去の過ちに翻弄される会社社長の主人公の姿を描きます。服部はクラシックバレエを辞めてから変わっていき、突然、行方不明になる財前美華を演じています。今回もバレエ経験を活かした演技を見せてくれそうです。このドラマには、父親役の藤木直人、母親役の吉瀬美智子(所属事務所の先輩女優でもあります)のほか、三宅健、板尾創路、杉本哲太、財前直見らが出演しています。
Z会のCMにも出演中
また、7月1日からオンエアが始まったZ-KAI GROUP「竜とそばかすの姫」“解けない未来はない。“篇のCMにも出演中。これは7月16日に公開された細田守監督の最新アニメーション映画『竜とそばかすの姫』とタイアップしたCMで、映画に励まされて前に進む女子高生を演じています。まっすぐ前を見つめる表情が印象に残ります。
彼女は今後は、女優業と並行してバレエの活動も続けるようです。インタビュー記事で彼女はバレエと演技の違いについて、「バレエは体全体で表現しますが、芝居は表情で演技することが多いので繊細な表現が必要なんだなと。今は鏡を見ながら、このセリフのときはどういう表情をしようかと考えているときが一番楽しい」(WEBザ・テレビジョン2020年10月21日配信)と語っています。バレエで培った、しなやかな体の使い方や繊細な表現力は、彼女のかけがえのない魅力になるはずです。
スポーツの世界ではMLBの大谷翔平選手が投手と打者の二刀流で活躍を見せて全米を席巻していますが、映画・ドラマの世界では服部樹咲の女優とバレエの二刀流が大きな注目を集めそうです。
文/高倉文紀