男性タレント

SKY-HI アルバム『SKY-HI’sTHE BEST』発売記念インタビュー(後編)

tpr-sky-hi

2020年9月23日、ベストアルバム『SKY-HI’s THE BEST』を発表したSKY-HI。

前編では発売に至った理由や、各ディスクの魅力、尊敬する日本のアーティストや作家について語ってもらったが、この後編では、タレントパワーランキングのデータやカラオケの人気曲の考察、さらには曲を作るうえでの葛藤などについても尋ねてみた。

<SKY-HIを歌う人の傾向、JOYSOUND調べ>

-確かに、男性が実力ある男性アーティストを聞く土壌が出来てきた感じがありますね。そして、こちらはSKY-HIさんの楽曲を歌っている人の男女別と年代別グラフなんですが、男性が過半数、しかも20代が多くなっています。

「やっぱりカラオケで歌うのは男性が多いでしょうね。Spotifyのデータでも7割が男性ですよ。でも、カラオケで20代に集中しているのは今後の課題ですね。もっと突き詰めてシンプルなメッセージソングができれば、より幅広い年代に広がる気がします。

例えば、Mr.Childrenの桜井(和寿)さんはそうですよね。米津(玄師)くんだって、あれだけ一筋縄ではいかない思考や音楽性なのに、幅広く支持されている。「Lemon」を出した時、ここまで普遍的な作品が作れるんだと衝撃でした。

よく人にも言われるんですよ、誰でも分かる作品を作れと。でも、階段を下りるのは嫌じゃないですか。階段を上ったうえで、分かる作品を作ろうと頑張っていて、(DISC1の)『アイリスライト』もそれを目指して作りました。ただ、ポピュラリティーを得ようとすると、どこかで下りる作業になってしまって、それは自分の実力がまだまだなんだと思っています。

でも、従来のJ-POPは階段を下りてポップスを作るか、分かるヤツだけ分かればいいってコアな音楽を作るかしかなかったけど、米津玄師や常田大希(King Gnu)のように、階段を下りずしてキャッチーな楽曲が広く受け入れられているし、彼らをとても尊敬しています。」

<SKY-HIのカラオケ人気曲(2020年1月~6月、JOYSOUND調べ)>

-さらに、カラオケ人気曲を見てみると、なんと超絶ラップの『Tyrant Island』が1位です!

「『Tyralnt Island』は、TikTokやYouTubeなどでもよく見かけます。まぁ一芸として人気があるんでしょうね(笑)。ビートボックスやギターの早弾きみたいなもので。

ぼくりり(ぼくのりりっくのぼうよみ)くんとコラボした『何様』が4位というのも納得ですね。先日THE FIRST TAKE(※アーティストの一発録りが話題のYouTubeチャンネル)で歌ったので、今後さらに話題になるかも。自分のカラオケの人気曲は、(ベタなメッセージソングではなく)今のところ、技術に振りきったものが多いかもしれませんね。でも、素直でシンプルで、本能的に良いと思わせる曲も作っていきたいですね。

-そのPOPSとRAPの振り幅もSKY-HIさんの魅力ですよね。

「今までは、ラジオでかかりやすいものや、テレビでパフォーマンスしやすいものを目指して、POPS BESTに入っているような曲をリリースして、その反動で(RAP BESTのような)ラップの曲を作ってきたけれど、今後は、POPS、RAP、コラボの3つのスタイルを切り離すことなく、発表していくことを目指さないといけないと思っています。実は数年前から切り分けるのはよくないなと思っていて。

今はSNSでバズったら、他のメディアでもバズる時代なので、その意味では、純粋に良いものを目指すのに集中できる。だからこそ、ここでいったんピリオドを打って次に進むためのベストでもあるんです。」

-それで、新会社『BMSG』を立ち上げたと。

「それと同時に、日本はルックスのよいラッパーが認められる土壌がない。逆に、ダンスも歌も実力があるのに、ルックスにアイドル性がないとスポットが当たらない。そういう物凄いスキルや信念を持っている子たちを応援したい。

それと、今は、昔の音楽を掘り下げる作業が減ってしまったのかも。昔だったら、レコード屋で店員さんに教えてもらって、その解説版を近くのコーヒーショップで読んで、それをクラブで聴いて、それを周りに話したらお前、こんなの知ってんのか?って言われて深掘りしたんだけど、今はネットで知識が入っても体験が伴わず抜けちゃうからね。

でも、ここ数年は、自浄作用が働いたのか、ストリーミングからヒット曲が沢山出てきてめっちゃ健全ですよ。だからこそ、このプロジェクトからもヒット曲を出したいですね。」

新会社では、“才能を殺さない為に。”をスローガンに掲げ、既にラッパーのNovel Coreと契約し、2021年デビュー予定のボーイズグループのメンバーも募集しているとのこと。今後のアーティストのあり方がどう変わっていくのか、大いに期待しています!

SKY-HI OFFICIAL WEBSITE :https://avex.jp/skyhi/

BMSG WEBSITE: https://bmsg.tokyo/

(聞き手:人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝)