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SKY-HI アルバム『SKY-HI’sTHE BEST』発売記念インタビュー(前編)

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2020年2月に発売した15周年記念のオールタイム・ベストがオリコン週間1位(累計13万枚以上)となったAAA。

そのメンバーに在籍しながら、SKY-HI名義でソロ活動も続けてきた日高光啓が、2020年9月23日、ベストアルバム『SKY-HI’s THE BEST』を発表した。

本作は、ポップス・シンガーとしての魅力を詰め込んだPOPS BEST、ラッパーとしての高いスキルが堪能できるRAP BEST、そして他のアーティストやプロデューサーとの共作を集めたCOLLABORATION BESTの3枚から構成される。

なぜ、このタイミングで発売することになったのか、前編ではその理由と、各ディスクの魅力、さらには尊敬する日本のアーティストや作家について語ってもらった。

「ベストアルバムを発売したのは、2つ理由がありまして。

1つは、ストリーミング時代が到来して、過去の作品が聞かれたり、SNSで二次利用をされたりする中で、やり直させてほしいなと思う曲があったこと。

そして、もう1つは、自分のマネジメントとレーベルの新会社『BMSG』を立ち上げるにあたって、今のタイミングで明確にピリオドを打って作品をコンパイルしたいなと思ったこと。

ここでは、若い人たちもマネジメントしていきます。

この3枚組の選曲は、昨年末のカウントダウンLIVE(※本作の映像ディスクに収録)を行うにあたって募集したファン投票の順位を参考にしました。

作品に優劣はないんだけど、自分をよく投影できているものをできるだけ多く入れてみようと。」

-では、各ディスクについて質問させてください。まず、DISC1のPOPS BESTは失礼ながら、歌のうまさに驚きました!ハイトーンもバッチリ決まるし、ダークな歌声もメロディアスに聞かせるし。

「ライブであんなに激しく踊りながらピッチが狂わないなんて我ながら凄いと思います(笑)。

この中で人気のある『アイリスライト』は、どんな人にも幸せになってほしいということを、現実を逃避せずに伝えたいというのがあって。

例えば、恋人とでも夫婦でも一緒にいる時間だけが幸せじゃなくて、離れている時間も大事にしてほしいと思って作りました。」

また、新曲の『そこにいた』は、実は、人が亡くなったときに作ったミディアム・バラードです。この“そこにいる”っていうのが大事で。

今年は、特にオンライン上で繋がることが多いけれど、その人にとっての“そこ”は人それぞれで、その限定しない感覚が好きでよく使うフレーズですね。」

-続いて、DISC2のRAP BEST。僕は、AAAの楽曲中のラップをイメージしていたので、SKY-HI名義だとその枠を飛び越え、あまりの早口にド肝を抜かれました!

「思っていることしか書いてないから、できるんでしょうね(笑)。

この中で、3曲目の「LUCE(ルーチェ)」は、自殺した友人のことを具体的に歌詞に込めました。

新曲の『Sky’s The Limit』は、アメリカのヒップホップ界隈では昔から言われているフレーズで、いつかこのテーマで挑発的なナンバーを作りたいと思っていました。

ラップを生業とするならば、やっぱり歌詞が大事かな。」

-DISC3のCOLLABORATION BESTは、これまた華やかですね。特に、『Diver’s High』はユニークです。

「これはアニメのタイアップなので、頑張ったんだけど、自分らしい作品とアニメらしい作品のどちらかにもっと突き抜けたかったというのが、やや反省点で。

だけど、斎藤宏介さん(UNISON SQUARE GARDEN)のギターが際立っていることで作品が成立している。

だから、彼の演奏がない所で歌うことはありませんね。

DISC3には、3曲の新曲を入れました。

まず『Sexual Healing』は、現段階で、一番気に入っています。

みんな性欲にまみれているのか(笑)LIVEでもセクシャルな作品は割と人気で。自分でも好きなのが多いけれど、DISC1やDISC2にはそういった作品が収まりづらいので、新曲を作ろうと。

ちょうど、ダンスナンバーも欲しかったし、そこへSamuel Seo(※本作のプロデュースと共同作曲を担当)から声がかかり、まさに“渡りに船”でしたね。

そして、カナダのフィメール・ラッパーのHoney Cと作った『Shiawase feat.Honey C』は、2017年に録音していたのですが、あまりに出来が良くてリリースするタイミングが合わずに発表できなかった作品です。

実際にスタジオで会ってリズムを決めたら、集中して一気にできましたね。

さらに、もう1つの『#Homesession』は、自分のバンドメンバーとコロナ禍のなか作った楽曲です。

毎年、春に一緒に全国を回っていたのが、今年は中止で。彼らの元気がないのは寂しいなと思って、曲を作りました。

そうしたら、皆がリモートで各パートを入れていってくれて、直接一緒に鳴らした回数が多ければ多いほど、リモートのセッションが成り立つんだと分かりました。

実際は5~6年なんだけど、20~30年一緒にいたんじゃないかと思うほど、濃い現場をくぐり抜けてきた仲間です。」

-僕は、3枚を通して聴いてスガシカオさんを思い出したんですよ。物事を見据えた上で、自分のメッセージも発信する感じが共通していて。

「ありがとうございます。スガシカオさんの歌詞は僕も大好きですね。

特に、トゲやよどみ、ゆがみを直視するところが。最初は、すごくファンクネスの強い方だなぁ、と曲が好きで聴いていたら歌詞も素晴らしいんですよね。

特に一緒にコラボもさせていただいた「19歳」が好きです。」

-他に、昭和の歌謡曲も聞かれたりするのですか?

「実は、和田アキ子さんが大好きで。

日本人であそこまで土着的なソウルを消化できた人はあまりいなくないですか?

そういう人って他には宇多田ヒカルさんがいるかな。

でも、宇多田さんはアメリカで育ってるから、それがナチュラルじゃないですか。

なんでアッコさんが、日本語で、しかも日本の旋律で、アレサ・フランクリンみたいに歌えているのか、ちょっと理解できない。

それくらい凄いと思っています。

あと、松本隆先生の作詞は大好きですね。

20代になってから、昔の曲を聞いてみたら、その歌詞世界に感動して。

松本隆先生からさかのぼって阿久悠先生のも聞いてみたら、これも衝撃を受けて。

当時、自分が知っていたラッパーも凄いと思ってたけれど、ヤバイ、昭和時代に全然追いついてないかも、と目が覚めました。

だからこそ、まだまだ頑張れると思って、おかげでそこから歌詞を意識するようになりました。

僕もドラマ―なんで共感するのですが、松本先生の詞はビートに乗っている。ある意味ラッパーですよ、そのオリジネーターでもあるし。限られた少ない文字数でリズムを出すのって実は凄いこと。

ストリーミングで最近の曲をチェックしていたから、しばらく聴いてなかったけど、今回質問されてまた勉強しなきゃと思いました。」

後編では、カラオケの人気曲や、曲を作るうえでの葛藤などを尋ねていきます。どうぞお楽しみに!

SKY-HI BEST ALBUM『SKY-HI’s THE BEST』

<形態>
【CD3枚組】

3CD(スマプラ対応)  品番:AVCD-96494~6 価格:¥4,000- +TAX
【LIVE盤】

3CD+2DVD(スマプラ対応)  品番:AVCD-96488~90/B~C 価格:¥9,000- +TAX
3CD+Blu-ray(スマプラ対応) 品番:AVCD-96491~3/B 価格:¥9,000- +TAX

●収録内容
【CD】
・DISC1 : POPS BEST
・DISC2 : RAP BEST
・DISC3 : COLLABORATION BEST
【DVD/Blu-ray】
・SKY-HI Round A Ground 2019 ~Count Down SKY-HI~(2019.12.11 @ TOYOSU PIT)

(聞き手:人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝)