女性タレント

中村アン「女優として転機になった作品」

旬の女優インタビュー 中村アン・前篇

『SUITS/スーツ』『危険なビーナス』など話題のドラマへの起用が相次ぎ、映画『名も無き世界のエンドロール』(1月29日公開/佐藤祐市監督)では政治家令嬢のリサ役を演じている、中村アン。「この経験があったから、今がある」という転機作と、女優業への向き合い方とは。

お芝居と真剣に向き合うきっかけに

——映画『名も無き世界のエンドロール』のオファーを受けたとき、どう思われましたか。

感情をぶつけたり、キャラクター性が強かったりと、演じたことのないタイプの役だったので、うれしい反面、少し不安もありました。でも、なかなか自分のイメージを変えることができずにいたので、これはチャンスだと思いましたね。

——ご自身のイメージとは?

感情を見せる役というよりは、何でも淡々とこなすような役が多かったんです。そういう元気なイメージをよく持たれます。それを覆せるんじゃないかなって。

——登場シーンからイライラしていて、喜怒哀楽の激しい役でした。

どんなことをしても「私は決して悪くない」と言い張る、ぶっとんだ女の子(笑)。お金持ちで、ワガママで、見た目も派手で、欲しいものは全部手に入れてきた——そんなキャラクターでしたね。

——共感して役にアプローチすることが難しそうです。

確かに共感はあまりないですね(笑)。ただ、共感はできなくても情はわいてくる。演じているうちに、だんだん、その人になってくるところがありました。

——佐藤祐市監督とは、ドラマ『危険なビーナス』でも一緒でしたね。

そうですね。この映画の撮影は2019年の8月で、

『危険なビーナス』よりも前だったんですよ。ご縁があるようで嬉しいです。

——『名も無き〜』のときに監督から言われたことは?

最初と最後のシーンで、メリハリを付けてほしいと。だから最初はテンション高くキャピキャピとただ元気な女の子を演じて、最後はおもいきり感情をぶつけるという、本性が見えた時に全然違って見えるように意識しました。

——完成した映画の見どころは?

宣伝文句でも言われているように、ラスト20分。そこに真実が隠されていて、スカッとする一方で余韻もあるので、楽しんでもらえたらいいなと思います。

——中村さんにとっては、どういう作品になりましたか。

私にとっては、今まで出したことのない感情が自然に湧き出て、ぶつけることができた作品。これがあったから今があるというか。お芝居に対して、真剣に向き合うきっかけになった作品です。

見る人の心を動かしたい

——20代から芸能界でご活躍されていましたが、女優業に興味を持ったのはいつ頃ですか?

興味を持ったというより、お仕事をいただいて、ぬるっと入ってしまった感じでした。今思うと最初はお芝居に対する覚悟がまったくなかったです。変わったのは、30歳のとき。初めてドラマで主演させていただいたんです。

——18年の『ラブリラン』ですね。

はい。主演のお仕事を頂き、私に賭けてくれる人がいるのだから、そこにしっかり応えたいと思うようになって。できないなりにも情熱を持って、真剣に取り組むようになりました。

——『SUITS/スーツ』で織田裕二さん、『集団左遷!!』で福山雅治さん、『グランメゾン東京』で木村拓哉さんと、国民的俳優の方々と共演されてきましたが、特に学びが大きかったのは?

それはもう、みなさんそれぞれに学びがありますね。福山さんからは、デビューした頃のお話しをお聞きして色々な思いをパワーに変えていて刺激を受けました。織田さんは2人でのシーンの時に「ここ、どう思う?」と意見を聞いてきてくださったり、一緒にお芝居を作ろうとしてくださるんですよ。木村さんもコミュニケーションとチームワークを大切にされていて。みなさん「作品を良くしたい」という情熱がすごいです。『SUITS/スーツ』の鈴木保奈美さんも「ここ、こうしてみたらやりやすいかもよ?」とアドバイスしてくださったりして嬉しかったです。なかなかできない経験をさせてもらっていると思うので、ちゃんと吸収して、次に繋げていきたいといつも思います。

——今感じる、女優業の楽しさは?

ドラマや映画を見ると、笑ったり悲しかったり、感動したり、幸せな気持ちになったりするじゃないですか。見る人の心をもしかしたら動かすことができるかもしれないところが、楽しさでもあり、難しさでもありますね。(後篇に続く)

■映画『名も無き世界のエンドロール』

2021年1月29日(金)全国ロードショー
映画『名も無き世界のエンドロール』
2021年1月29日から全国公開
監督:佐藤祐市
出演・岩田剛典、新田真剣佑、山田杏奈、中村アン/石丸謙二郎、大友康平、柄本明
原作・行成薫『名も無き世界のエンドロール』(集英社文庫刊)
脚本・西条みつとし
配給:エイベックス・ピクチャーズ
(C)行成薫/集英社(C)映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会

 


中村 アン (なかむら・あん)

誕生日 1987年 09月 17日
出身地 東京都
所属事務所:プラチナムプロダクション