強力なヒット体制のもとデビューするも伸び悩んだ4年間…。その中でも新浜レオン像を着々と形成
新浜レオンについては、2024年に初出場となったNHK『紅白歌合戦』で知った方も多いだろうが、彼がデビューしたのは2019年。タイアップ楽曲やイメージ戦略の上手さでJ-POP界をけん引してきたビーイング発の演歌歌手として話題を呼び、デビュー曲「離さない 離さない」はオリコン初登場19位と、演歌・歌謡曲歌手としてはかなりの好発進となった。この頃は元・高校球児ということもあってか、歌唱の方もストレートでクリーンな印象で、シングル2作目の「君を求めて」では初のオリコンTOP10入りを果たした。ただし、シングル4作目「ジェラシー ~運命にKissをしよう~」まではCDセールスが1万枚前後と、デビュー作の1.5万枚がピークで伸び悩み状態が3年程続いた。
しかし、その間も、サンリオとコラボしたキャラクター「れおすけ」を生み出したり、クリーンなイメージから被災地での支援やビーチの清掃などに従事したり、さらには西城秀樹ファンを公言し、2022年の「ジェラシー ~運命にKissをしよう~」のDVDシングルでは西城秀樹カバーメドレーをしたりと、愛嬌があり、実直で、情熱的、という新浜レオン像を徐々に形成していった。

「捕まえて、今夜。」がアニメタイアップと親しみやすさでストリーミングやミュージックビデオが好調に
その後2023年、前年末から起用されていたビーイング枠のタイアップ『名探偵コナン 犯人の犯沢さん』のオープニングテーマ曲「捕まえて、今夜。」と、3度目の起用となるTBS系『ひるおび』のエンディングテーマのラブ・バラード「どんなに愛したとしても」の両A面シングルをリリース。特に「捕まえて、今夜。」は、昭和時代に多く見られた、女性の立場で情熱的に歌うという歌謡曲スタイルで、CDセールスは累計1.7万枚と、自己ベストを記録。また、アニメタイアップに起用されたことで、ストリーミングやミュージックビデオの再生回数はともに前作の20倍以上に跳ね上がった。このあたりから、語尾を”~レオン!”と変換するレオン語を連発して、どんなにスベってしまっても、明るく笑顔を振りまくという、根っからの人懐っこさが浸透していったと言えよう。
所ジョージと木梨憲武のバックアップで一気に浸透し、CDは初の5万枚突破!『紅白』初出場へ
そうして迎えた2024年、木梨憲武と所ジョージの強力バックアップにより6thシングル「全てあげよう」は、西城秀樹を彷彿とさせるオーバーなアクションや情熱的な歌唱で、従来の演歌ファン以外にも大きく広がり、CDの発売形態5種類を3月と9月に2回リリースし、10種類に増やしたことも相まって、CDセールスは前作の3倍以上となる5万枚を突破。しかも、前年のようなアニメタイアップはないものの、ストリーミングやミュージックビデオの再生回数も、2022年までとは桁違いに伸び出した。こうした本人の努力も含めた地道なプロモーションを重ねたことで、デビュー6年目にして『紅白』初出場に繋がったのだ。

タレントパワースコアでは、なんと20代から40代の男性が女性を上回るほど!キャラの良さが示された?
そんな彼のタレントパワーランキングのスコアを見てみよう(2025年2月にようやく調査対象となったので、それまでのデータはない点をご了承願いたい)。まず、認知度を見ると、50代以上の女性に人気というのは、演歌歌手ならではの強みを見せつつ、男女全体でともに20%台と、通常の若手アーティストと比べても、決して低くない。
さらに、注目すべきは、(知っている)かつ(見たい・聴きたい)のスコアを示す、タレントパワーの方を見ると、なんと男性の方が高くなっているのだ。確かに、彼のキャラは、一部の女性からは“熱すぎて…”、“いい人過ぎて…”と敬遠されそうだが、男性では部下としても同僚としても親しまれそうだ。そういった人の良さも同性を惹きつけるのだろう。

2025年は、強力作2作による両A面シングルで、一気にJ-POPファンも取り込むか!?
2025年は、『名探偵コナン』タイアップ(しかも、今回はスピンオフではなく本編)となる「Fun!Fun!Fun!」と、所ジョージ作詞・作曲の歌謡ロック「炎のkiss」という過去の成功例2作による両A面シングルで、4月16日に5種類でリリース。購入枚数が増えるほど特典も増えていくシステムでの発売記念イベントも好調で、現在の認知度の高さからも演歌枠を大きく超えるセールスとなりそうだ。個人的には、今後、ダウンロードやミュージックビデオ、カラオケのポイントも伸びることで、オリコンの演歌CDチャートではなく、総合のビルボードジャパンチャートでも躍進することを期待したい。彼のスター性ならば、その可能性も決して低くないだろう。そして、新浜レオンの成功例から、演歌・歌謡歌手が小さくまとまらず、より幅広く知られるよう目指す人が増えることも願っている。

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うすい・たかし。1968年京都府出身。地元大学大学院理学研究科修了、専攻は理論化学(だったはず)。総合化学会社、音楽系会社での数値解析やマーケティング実務を経て、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、音楽分析やストリーミングサービスでのプレイリスト選曲「おとラボ」「レコメモ」のほか、日経エンタテインメント!やデイリー新潮、Re:minder、共同通信 等で愛と情熱に満ちたコラムを執筆中。カバーアルバムは約1000枚所有、これまで50作前後を企画。
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