女性タレント

「残響散歌」発表後、タレントパワーが倍増!新作アルバムもヒット中のAimer

デビューからの10年間でヒットを連発するも“誰もが知る存在” の一歩手前だった

2011年9月にトリプルA面シングル「六等星の夜/悲しみはオーロラに/TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR」でメジャー・デビューして以来、その心の奥底に届くような憂いを帯びた優しいボーカルが評判を呼び、『機動戦士ガンダム』関連の主題歌となった2013年の5thシングル「RE:I AM」で初のシングルTOP10入り。以降はシングル、アルバムともにCDおよび音楽配信でヒットの常連アーティストとなっていった。特に、劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel]』第二章の主題歌となった「I beg you」を含む2019年のトリプルA面シングル「I beg you/花びらたちのマーチ/Sailing」は初めてCDチャートの1位を獲得。また、2016年の4thアルバム『daydream』(ビルボード週間3位、同作は第9回CDショップ大賞の準大賞も受賞した傑作!)に収録された「カタオモイ」は、ラブソングの定番として2021年8月にストリーミングサービス再生回数1億回を突破し、アニソンの枠を超えたヒット実績を重ねてきた。

「Aimer」パワースコア_2021年8月(左上:全体&男女別、右上:年代別、左下:男性×年代別、右下:女性×年代別)

ただ、デビューまる10年が経過する直前、2021年8月時点のタレントパワーのスコアを見てみると、全体で6.3ポイントと、ブレイクして数年間TOP10級のヒットを重ねてきたアーティストと同じくらいといいう意外に低いスコアだった。ただし、女性アーティストの場合、大ブレイク前は男性のスコアに偏りがちなところ、Aimerの場合は、男性が6.4ポイント、女性が6.1ポイントとほぼ差がなく、しかも女性は10代・20代と繊細な世代から高い支持を受けており、着実にアーティストとしての魅力が浸透していることがよく分かる。

『鬼滅の刃』テーマ曲「残響散歌」からビルボード、レコ大、紅白など存在感を増し、タレントパワーも倍増!

そして、2021年12月にアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』が開始され、Aimerはそのオープニングテーマの「残響散歌」とエンディングテーマの「朝が来る」を担当。「残響散歌」は、そのダイナミックな曲調やパワフルかつセンシティブなボーカルが、アニメの世界観と見事に合致し、同年末から配信されダウンロード、ストリーミングともに週間1位を獲得(ストリーミングは、2023年5月に3億回再生を突破!)翌年1月に発売されたCDシングルも1位となり、それらのロングヒットから、2022年度のビルボードジャパンの年間1位、同年末には日本レコード大賞の特別賞を受賞、さらにNHK紅白歌合戦にも初出場を果たした。NHK紅白では、Aimer、milet、幾田りらというソニーの若手TOPを担う3人によるディスコ・ナンバー「おもかげ」を、プロデュースを手がけたVaundyとコラボしたことも大きな話題となった。

「Aimer」パワースコア_2023年8月(左上:全体&男女別、右上:年代別、左下:男性×年代別、右下:女性×年代別)

その結果、2023年8月とまる2年経過したタレントパワーを見てみると、全体は13.7ポイントと2.2倍増、男性が14.2ポイント、女性が13.1ポイントと、いずれも2倍を上回っている。しかも、男性では10代から50代前半まで幅広い年代で高いスコアとなり、女性では10代・20代でトップスター級のスコアになりつつ、他の年代でも着実に伸びを見せている。これは『鬼滅の刃』効果が如実に出ているのだが、彼女の”感情の揺らぎ”に寄り添うような彼女の歌声や歌詞のチカラは確かなものなので、是非とも「残響散歌」以外の楽曲も堪能してもらいたい。

Aimer『Open α Door』ビルボードチャートアクション。8週連続TOP100入りを継続している。

最新アルバム『Open α Door』は、アニソン以外にも魅力たっぷり。今後のコラボや楽曲提供にも期待!!

彼女の最新作は、2023年7月に発表された通算7作目となるオリジナル・アルバム『Open α Door(オープン・ア・ドア)』、ビルボードでも総合3位、ダウンロードでは1位を獲得している。本作は、大ヒット・シングル「残響散歌」とそのカップリング「朝が来る」の『鬼滅の刃』テーマ曲コンビに、アニメ『チェンソーマン』のエンディング曲となった「Deep down」、アニメ『王様ランキング 勇気の宝箱』エンディング曲となった「あてもなく」などアニメタイアップ曲が多いことで、壮大な世界観がアルバム全体に繰り広げられている印象がある一方で、ABEMEの恋愛バラエティー番組『オオカミちゃんとオオカミくんには騙されない』主題歌の「オアイコ」のように可愛い恋愛ソングや、青春のきらめきを歌った「群青色の空」、Aimer流の世界観を描きつつダンスポップスに挑んだ「SKYLIGHT」などが、より多様な彼女の能力を引き出している。今回は「残響散歌」のメガヒットを核としたアルバムだが、彼女のアーティスト・パワーを考えると、今後、予想外の作家やシンガーソングライターからの楽曲提供や、レーベルを超えた(場合によっては海外も有りでは!?)アーティストとのコラボなどで、更にドラスティックな化学反応が起きることも期待せずにいられない。

Aimer 『Open α Door』通常盤 ジャケット画像

 

 

 

著者プロフィール

うすい・たかし。1968年京都府出身。地元大学大学院理学研究科修了、専攻は理論化学(だったはず)。総合化学会社、音楽系広告代理店での数値解析やマーケティング実務を経て、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、音楽分析や配信サイトの選曲、コンピレーションや復刻CDの企画のほか、日経エンタテインメント!やRe:minder、共同通信 等で愛と情熱に満ちたコラムを執筆中。カバーアルバムは約1000枚所有、これまで50作前後を企画。Twitterは @t2umusic(よかったらフォローして下さい♪)

☆各種ストリーミングサービスにて大人向けのプレイリスト『おとラボ』を選曲しています♪
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