インタビュー

山田杏奈が見た、『樹海村』での不可解な出来事

浜辺美波、福本莉子、岡田結実ら、次世代の主演級がひしめく2001年生まれの女優たち。なかでも幅広い役柄を演じてきた実力派が、20歳になったばかりの山田杏奈だ。18年に『ミスミソウ』で映画初主演を果たしてからの活躍は目覚ましく、連続ドラマ『新米姉妹のふたりごはん』『荒ぶる季節の乙女どもよ。』や映画『ジオラマボーイ・パノラマガール』に主演。21年2月5日に、山口まゆとW主演した清水崇監督の『樹海村』が公開されたばかりだ。ホラー映画のヒロイン役に、どのように挑んだのか。

清水崇監督作品は「あえて昼間に見ました」

——『樹海村』のオファーがあったときは、どう思いましたか?

ホラー映画はあんまり見ないんですけど、清水監督の名前はもちろん知っていたので、うれしかったです。あと、初めての主演映画(『ミスミソウ』)もけっこうダークな話だったので、やっぱりそういうイメージがあるんだなあって。そういう意味では、驚きはなかったですね。

——清水監督の作品を見たことは?

『樹海村』のお話をいただいてから、『呪怨』と『犬鳴村』を見ました。

——1人で見られました?

一人暮らしなので、一人で見るしかないので(笑)。昼間の明るいうちに、ケータイの小さい画面で見ましたね(笑)。

——怖かったですか?

じわっと怖い感じがありましたね。ものすごいCG技術が使われているわけじゃないのに、カメラワークとかで怖く見える。『呪怨』は特に、日本のホラーの基礎になっているものなんだなって思いました。

——それまで、幽霊をあまり見せずに怖がらせるのが日本のホラーの特徴でした。でも『呪怨』で、清水監督はドーンと出しちゃったんです。

真っ白な小さい男の子ですね(笑)。

——斬新だとサム・ライミ監督(『スパイダーマン』『死霊のはらわた』)らに絶賛され、清水監督自身の手でハリウッドリメイク版も作られました。昨年公開された『犬鳴村』の方はいかがでしたか?

今回の『樹海村』もそうですけど、人間の心の怖さとかも含んだホラーというか。また新しいジャンルのホラーなんだなって。

——『犬鳴村』は20年2月のコロナ禍での公開にもかかわらず、興行収入11億円のヒットに。その第2弾ということで、プレッシャーはありましたか?

『犬鳴村』のヒットを受けて、『樹海村』を作りますっていう話だったので、そこはやっぱり「後に続け!」じゃないですけど、今回もそうなるといいなとは思いました。ただ、お芝居をするときに、そこはあえて気にしないようにしました。みんなで作ったものが、結果として評価されたらいいなという感じでした。

樹海での撮影は、危険と隣り合わせ

——『樹海村』で演じた天沢響についてはどう思い、どうアプローチしましたか。

監督と初めて話したときに、「響は人より植物や虫と感覚が近くて、自然と共鳴する部分がある」と言われて。参考になりそうな映画を監督に教えてもらいました。

——それは?

『ぼくのエリ 200歳の少女』と『ボーダー 二つの世界』。どっちも北欧の同じ監督の作品なんですけど(アリ・アッバシ監督)。人間の世界にいながらも、違う世界を持っているような主人公を描いていて、響もそうなのかなと。自分の世界を持っていて、周りにどう思われても気にしない子なんだろうなと思いながら演じました。

——清水監督の演出はいかがでしたか?

清水さんは、めちゃめちゃお茶目で、現場でもよくしゃべってくれて(笑)。でもお芝居の演出はけっこう細かく、ゆっくり演出してくださいました。印象的だったのは、ワンカットワンカット、時間をかけて撮られること。カメラワークや照明、仕掛けにすごくこだわっていたので、こうやって一つ一つの要素で怖く見せているんだなあと思いました。

——CGに頼らず、現場で作っていくんですね?

脚本を読んだときは、もっとCGで作っていくのかなと思っていたら、現場にしっかり特殊メイクをした幽霊役の役者さんたちがいらっしゃって。仕掛けの箱の蓋が飛ぶところも、天蚕糸(てぐす)でポーンと飛ばして、天蚕糸の方をCGで消していたりとか。下から手が伸びてくるシーンも、見えないところから手だけ伸ばしていたりとか。意外とアナログなんだなって。

——モノ作りの面白さがありますね。

そうですね。作る側の視点で見ると、面白いなと思いましたね。

——客観的に現場を見ている印象ですが、現場で悩んだり追い込まれたりは?

精神的より、体力的にけっこう大変でした。樹海は本当に足場が悪いので、ケガしないように必死、みたいな。

——リアルに富士の樹海で撮ってたんですか?

静岡側の樹海です。普通の森と違って、樹海は地表に大きな木の根が這っているので、気を抜くと転んで危ないんですよ。逃げなきゃいけないシーンでも、うまく走れない。そこでケガすると現場が止まっちゃうので、どうやって必死さを出すか、みたいな難しさがあって、体力を使いましたね。終わったらヘトヘト、みたいなときが多かったです。

撮影現場で起きたのは怪奇現象?

——完成した映画をご覧になっての感想は?

全身青い合成用の服(クロマキーボディスーツ)を着て撮影したシーンがあって。どういう映像になるのかまったく想像できなかったんですけど、完成した映画を見たら、すごいことになっていて。「私、こんなことになっている〜!」と驚きました(笑)。

——作品全体の見どころは?

今回は「コトリバコ」という都市伝説と富士の樹海を絡めた物語になってるんです。もちろんフィクションですけど、劇中で使われているコトリバコの説明に関する動画は、実際にYouTubeにあるものを許可をもらって使ってるんですよ。なので、この映画のどこまでが本当なんだろうと思って調べてもらうと、またリンクした記事が出て来たりする。そういうふうに、見終わってからも楽しめる作品になっていると思います。

——ホラー映画の撮影現場では、よく不可解なことが起きると言われます。『樹海村』はいかがでしたか?

コトリバコを撮るときに、監督のモニターにノイズが入ることが何回か続いて。それが場所を変えても、コトリバコが映るカットになると、またノイズが走るんですよ。まあ、お祓いをちゃんとしていたので映画は無事に撮り終わったんですけど……そんなこともありました。

——怖い(笑)。山田さんは、霊は信じる人ですか?

信じる……ここで信じないって言っちゃったら、ホラー映画の存在意義に関わっちゃうので(笑)。いるんだろうなとは思いますけど、私自身にはまったくそういう能力はなく、見たことないです(笑)。

映画『樹海村』


2021年2月5日から全国公開中
監督:清水崇
出演・山田杏奈、山口まゆ、神尾楓珠、倉悠貴、工藤遥、大谷凛香、山下リオ、塚地武雅、黒沢あすか、高橋和也、安達祐実、原日出子、國村隼
脚本・清水崇、保坂大輔
配給:東映
(C)2021「樹海村」製作委員会

 

山田杏奈(やまだ・あんな)
誕生日 2001年1月8日
出身地 埼玉県
所属事務所 アミューズ
公式サイト https://www.amuse.co.jp/artist/A8357/
公式ツイッター https://twitter.com/anna0108yamada/
公式インスタグラム https://www.instagram.com/anna_yamada_/