是枝裕和監督による連続ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』(12年/関西テレビ)で阿部寛の娘役に抜てきされ、18年の初主演映画『志乃ちゃんは自分の名前を言えない』で報知映画賞などの新人賞を獲得した蒔田彩珠。後篇では、転機や女優業で大事にしていること、そしてイメージワードを紐解く。
「何かある」役の方が演じやすい
——7歳から芸能活動をスタート。転機として大きかった作品は?
是枝(裕和)監督のドラマ『ゴーイング マイ ホーム』(12年)です。初めてちゃんとお芝居をした作品だったし、阿部寛さんや山口智子さん、みなさんがカッコイイ。普段は優しくて面白い方々なんですけど、お芝居になるとガーッと集中するんです。その姿を見ていて、「私も女優として生きていきたい」と思いました。
——初主演映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18年)も大きかったのでは?
そうですね。それまでは主演の方がいるなかで安心してお芝居をするっていう感じでした。でもあの作品で、初めて自分たちが映画の中心にならなきゃいけなくて。ただ、プレッシャーというより、「楽しもう!」っていう感じでした。
——今年は『朝が来る』のほかに『#ハンド全力』『星の子』も公開になりました。
『#ハンド全力』は、歳が近い子が多かったので、楽しくやれましたね。松居大悟監督は、私たちのアイデアも聞き入れつつ、自由に演じさせてくださいました。だから「みんなで作っている」という感じがありました。『星の子』は、主人公(芦田愛菜)の幼少時代のお姉ちゃん役。大森立嗣監督は「こうして、ああして」とは言わず、フィットするまでトライする。「できてないな」っていうのは自分でも分かるので、もう1回やって頂けるのはうれしかったです。
——『星の子』も『朝が来る』もそうですが、蒔田さんはアウトロー的な役が多いですよね?
多いです、多いです(笑)。でも普通の女の子より何かある役の方が、そこを掘り下げて、役作りができるので、演じやすいかもしれません。想像しがいがありますね。
——今感じる、女優業の楽しさは?
自分が経験できない人生を作品ごとに経験できること。あと、セリフ1つ取ってもいろいろな言い回しがある。自分にしかできない表現ができた時が幸せですね。
10代にして「演技力がある」が1位
——タレントパワーランキングで調査した蒔田さんのイメージワードの1位は「演技力がある」で32.7%。2位は「個性的な」「健康的な」で30.6%。3位が「ビジュアルが良い」「かわいい」でした。
「演技力がある」って言われるのが、一番うれしいですね。3位の「健康的」は意外です。役的にはちょっと不健康そうな役が多いので(笑)。「かわいい」や「ビジュアルが良い」ももちろんうれしいですけど……やっぱり、「演技力がある」が1位っていうのがうれしいです。
——ちなみに「素直そう」が一番低かったです。
あれ? おかしいなあ(笑)。
——蒔田さんは素直ですか?
素直です(笑)。
——役のイメージから、内面は変化球の人かなと思ってました。
はは(笑)。わりと普通な18歳です(笑)。
2021年は、朝ドラヒロインの妹役
——来年は、NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』でヒロイン(清原果耶)の妹役を演じますね。『とと姉ちゃん』以来2度目の朝ドラ。決まった時の感想は?
お昼寝してたら、マネジャーさんから電話がかかってきて、「受かったよ」って。びっくりして目が覚めました(笑)。果耶ちゃんとはドラマ『透明なゆりかご』と映画『いちごの唄』でご一緒させて頂いて、短い時間だったので、またどこかで共演できたらいいなと思っていたんです。それもあって全力でオーディションを受けたので、決まってうれしかったです。
——ヒロインの妹役というと、ヒロインへの登竜門。将来的には朝ドラヒロインをやりたいという気持ちは?
そうですね。もしそういうチャンスがあれば、ぜひ。
——最近、面白かった作品は?
アン・ハサウェイさんの『マイ・インターン』。あと、Netflixのドラマで『エミリー、パリへ行く』。女の子が仕事でパリに転勤する話なんですけど、最高でした。そうやって見始めると最後まで見ちゃうから、寝れないんです(笑)。
——これから目指したい女優像は?
クロエ・グレース・モレッツさんが大好きなんです。顔はもちろん、お芝居が全力でカッコいい。「こんなお芝居ができたらいいなあ」と思います。役では、多重人格のキャラクターをやってみたいです。同じ人なのに、かわいかったり、怖かったりして演じる幅に「すごい!」と思うことが多いので、いつかそういう役柄を演じられたらいいなと思っています。
蒔田彩珠(まきた・あじゅ)
誕生日 2002年8月7日
出身地 神奈川県
所属事務所 ユマニテ
公式サイト http://www.humanite.co.jp/actor.html?id=35
公式インスタグラム https://www.instagram.com/makita_aju/?hl=ja
映画『朝が来る』
2020年10月23日から全国公開
監督・脚本・撮影:河瀨直美
出演:永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子、佐藤令旺、田中偉登、中島ひろ子 平原テツ、駒井蓮、利重剛
原作:辻村深月『朝が来る』(文春文庫)
共同脚本:髙橋泉
配給:キノフィルムズ/木下グループ
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