実は大ブレイク前からマルチな活動で人気者だった2人
Creepy Nutsは、日本三連覇のラッパー「R-指定」と、世界一にもなったDJ「DJ松永」による2人組で、これまでもLIVEで大いに盛り上がる「のびしろ」(2021年)、アニメ『よふかしのうた』主題歌の「堕天」(2022年)などで人気を集めてきた。
しかし、それらのヒット曲の規模以上に人気者となってきたのは、彼らが音楽番組に限定せずにドラマやバラエティー番組まで広げたテレビ出演、またアルバムCDでも“ラジオ盤”が発売されるようにラジオ番組でのトークも人気だからだろう。
2024年は、2曲がヒット!「二度寝」も実はTOP10入り
そんな彼らが、2024年1月にアニメ『マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編』オープニングテーマ曲となる「Bling-Bang-Bang-Born」をリリースするやいなや、その中毒性の高いラップやビート、さらにアニメに合わせたダンスが大人気となり、登場3週目にはビルボード総合で初のTOP5入り、4週目には初の首位となった。そして、登場25週目で通算19回目の首位。当然ながら上半期でもダントツの1位となった。特に、ストリーミングは4億回再生を突破、YouTubeもまもなく2億回となる。驚くのは、カラオケでも14週連続1位になっていることで、この超難曲でも挑みたくなるというのは昨年のYOASOBI「アイドル」、Ado「唱」にも共通する傾向だ。
Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」と「二度寝」の
ビルボードジャパンでのチャートアクション
(左)TOP5内、(右)TOP100内
しかも、このメガヒットに隠れているがほぼ同時期にリリースされた「二度寝」も、彼らにとって屈指の代表曲となりそうだ。こちらは、その刺激的な内容から大きな話題となったTBS系金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』の主題歌で、ビルボードでは最高9位、TOP20にも5週ランクインで、「Bling-Bang-Bang-Born」に次ぐヒット、ストリーミングも3千万回を超えている。ちなみに、両曲を収録したCDシングルもオリコンやビルボードで初の週間TOP10入りと、これまた「Bling-Bang-Bang-Born」の配信がスゴすぎて、隠れがちになっているが大きな出来事だ。
タレントパワーでは、トップクラスの仲間入り!特に中高年女性でも大人気!
そんな彼らの、タレントパワーを、大ブレイク前の2023年5月と、影響が出まくった2024年5月で比べてみよう。
まず、全体では16.4pt→25.7ptと+9.3ptと、新人並みの急上昇。16ptはアルバムTOP5常連程度だが、25ptはMrs.GREEN APPLEやKing Gnuと並ぶレベルだ。全男性では+7.3ptに対し、全女性では+11.4ptと、さらに上昇ぶりが顕著で、ボーイズグループ顔負けの人気と言えるだろう。
Creepy Nuts パワースコア 全体/全男性/全女性
(左)2023年5月→(右)2024年5月
これを(男女別×年代別)で見てみよう。まず男性では、10代後半が、そのメッセージ性やラジオトークの面白さからか、もともと34ptとかなり強かったが、24年には38ptとヒットチャートのトップ常連級の人気に。特に大きく伸びたのが、20代前半の+11.3pt、20代後半の+12.7pt、さらに40代後半の+15.3pt。40代は90年代から00年代前半にかけて、ヒップホップがヒットチャート上位に次々とランクインし始めたころに青春期を迎えていることもCreepy Nutsの人気の要因と考えられるだろう。
Creepy Nuts パワースコア 男性×年代別
(左)2023年5月→(右)2024年5月
次に、女性の年代別を見てみると、ブレイク前から10-30代で人気があったが、ブレイク後は10代から50代までの平均が30pt超え、これはSnow ManやSixTONESにも引けを取らないレベルだ。特に伸びたのが、10代前半の+16.7pt、20代前半の+17.4pt、40代前半の+14.7pt、40代後半の+17.4pt、50代前半の+20pt、50代後半の+14.7ptで、中高年層にも人気なのが彼らの強みだろう。
Creepy Nuts パワースコア 女性×年代別
(左)2023年5月→(右)2024年5月
2024年夏は各種ロックフェスに引っ張りだこ、2025年2月には初の東京ドームも決定しており、その間に他のブレイク組のように更なるヒットを重ねていくのか、そして更にタレントパワーを伸ばすのか、実に楽しみな存在だ。
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うすい・たかし。1968年京都府出身。地元大学大学院理学研究科修了、専攻は理論化学(だったはず)。総合化学会社、音楽系広告代理店での数値解析やマーケティング実務を経て、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、音楽分析や配信サイトの選曲、コンピレーションや復刻CDの企画のほか、日経エンタテインメント!やデイリー新潮、Re:minder、共同通信 等で愛と情熱に満ちたコラムを執筆中。カバーアルバムは約1000枚所有、これまで50作前後を企画。プレイリスト「おとラボ」を監修。
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