旬の女優インタビュー 百田夏菜子・前篇
日本の女性アイドルシーンを疾走してきた「ももいろクローバーZ」のリーダーを務める百田夏菜子が実写映画初ヒロインを演じた『すくってごらん』が3月12日に公開される。
彼女が演じているのは、尾上松也が演じる主人公の元エリート銀行員が左遷先の田舎町で出会った、金魚すくいの店を営む生駒吉乃役。主題歌を百田が生駒吉乃名義で歌っているほか、劇中ではミュージカルシーンやピアノの弾き語りにもチャンレンジ。映画のロケは、金魚で有名な奈良県で行われた。
奈良の空気がおだやかな気持ちにさせてくれました
──映画『すくってごらん』で演じたのは、主人公がひと目惚れするミステリアスな美女の役ですね。
最初は「なぜ私のところにお話が来たのだろう?」と(笑)。映画のヒロインも初めてでしたので戸惑いましたが、台本をいただいて読んで、台本だけではイメージしきれない不思議な部分も含めて、面白そうだな、この世界に入ってみたいな、と思いました。
──映画の中で百田さんは、いろんな柄の浴衣を着ていますよね。
衣装合わせでは、着られるだけ着るという感じで、いろんな浴衣を着てみたんですよ。私は映画の撮影の前の年は一度も浴衣を着ることがなかったので、映画のお話をいただく少し前に「今年こそは、絶対に浴衣を着るぞ」と思って、友達と浴衣を買いに行ったんです。そんな中で、この映画の撮影中はずっと浴衣を着ていて、同じ時期の明治座での「ももクロ一座特別公演」でも和服を着たので、この年は逆に1年間ずっと和服でしたね(笑)。
──和服を着ての演技は、やはりいつもとは違いましたか?
所作を勉強しながら演じて、「どうやったら、きれいに見えるかな」と考えてました。
──奈良での映画の撮影は、どんな雰囲気でしたか?
奈良の空気がおだやかな気持ちにさせてくれて、おだやかに楽しくやってました。休憩時間もまわりを見回して、「なんておだやかな場所なんだろう」って。セットもめちゃくちゃ凝ってましたが、セットを組んだ街自体がほんとに素敵な場所で、街全体が映画の雰囲気そのままなので、セットが組まれている場所に行くまでの道からすでに映画の世界が始まってる気がしました。撮影の合間には、お散歩してました。そういう時間も楽しかったです。
──いろんな要素が詰まっている映画で、百田さんもピアノの弾き語りや奈良弁にも挑戦しました。
本読みの前に、10日くらい集中してピアノの練習をしました。ピアノは今までほとんど触ったことがなかったので、難しかったです。大事なシーンでもあったので、そのシーンが終わったときは心の底からほっとしました。今でも難しい楽器だなと思いますが、だからこそ楽しいなって。
奈良の方言も練習しました。共演者の清水みさとちゃんが奈良出身なので、方言の指導をしてくれて、撮影中もずっとそばにいてくれて、わからないことがあると聞いてました。関西弁は朝ドラ(『べっぴんさん』)のときに練習したのでなんとなくの雰囲気はわかってましたが、奈良となるとまた同じ関西でも大阪とは違うんだなという発見がありました。
──とても個性的な映像に仕上がっていますね。
完成した映画を試写で見たときに、「こういうふうになるんだ」と、撮影現場ではイメージできなかったものが初めて頭の中でつながって、監督の頭の中が「すごい」と思いました。
──ミュージカル的な映画は、どうでしたか?
ミュージカルは舞台ではやらせていただいたことがありますが、映画でのミュージカルはまた違ったものでしたね。私はもともとこのお仕事を始める前は、音楽とは無縁の人生を送っていて、お仕事を初めてからも音楽となかなか仲良くなれないなと思っている部分も多かったんですけど、いろんなことを学びながら活動してきました。
今回もこの映画に出会えて、ライブや舞台のミュージカルとも違った角度から音楽を楽しむことができて、完成した映画を見たときには「なんて楽しい世界なんだろう」と思いました。
後編に続く
■映画『すくってごらん』
2021年3月12日公開
出演:尾上松也 百田夏菜子
柿澤勇人 石田ニコル
矢崎広 大窪人衛 清水みさと 辻本みず希 北山雅康 鴨鈴女 やのぱん 竹井亮介 川野直輝 笑福亭鶴光
原作:大谷紀子『すくってごらん』(講談社「BE LOVE」所載)
監督:真壁幸紀 脚本:土城温美 音楽:鈴木大輔
配給:ギグリーボックス
(c)2020映画「@すくってごらん」製作委員会 (C)大谷紀子/講談社
百田夏菜子(ももた・かなこ)
誕生日 1994年7月12日
出身地 静岡県
所属事務所 スターダストプロモーション
公式サイト https://www.stardust.co.jp/profile/momotakanako.html
公式インスタグラム https://www.instagram.com/kanakomomota_official/