インタビュー

30代男優1位記念! 神木隆之介インタビュー 

「パワースコア」の算出方法

株式会社アーキテクトが2024年5月に実施したタレントパワーランキングの最新調査での10代から60代の男女の回答における認知度(名前も顔も知っている)と誘引率(「もっと見たい、もっと知りたい」という関心を示す指標)の数値から算出しました。

2024年5月 / パワースコア / 30代男優

いつも記事を見ていたタレントパワーランキングでトロフィーをいただいてうれしい

──タレントパワーランキングの5月度調査で、前回の2月に続いて、30代男優の中でパワースコアが1位でした。

いつもネット記事で拝見させていただいていて、よく知っている同世代の俳優がランクインしているのを見て、「みんな、すごいな」と思っていました。その中にちゃっかり自分も入らせていただいて、「自分は何位だ?」と楽しませてもらって。30代になったばかりなのに、今回こうして1位のトロフィーをいただくことができて、すごくうれしいですね。

──2期連続の1位で、今年上半期は今まで以上に神木さんの注目度が高かったと言えます。神木さん自身はこの結果をどのように自己分析されますか?

映画『ゴジラ-1.0』が大きかったんだろうなと思います。アカデミー賞(2024年3月に授賞式が開催)で視覚効果賞を受賞して、現地の授賞式から帰ってきたタカシ・ヤマザキ(山崎貴監督)が帰国後はテレビを見るとどのチャンネルにも出てるくらいになっていたので、VFXが評価された賞ではありますけど、受賞したことで映画自体がもう一度話題になって、そこで「主演、この人なんだ」と僕に注目していただいた人も多かったのかなと。あとは、やっぱり、去年の朝ドラ『らんまん』(NHK・2023年4~9月放送)ですね。年末の『紅白歌合戦』にはみなさんが半年間『らんまん』の寿恵子として認識してきた浜辺(美波)さんが司会で出ていましたけど、僕もゲストで出演して、特集コーナーも組んでいただいたので、僕らの名前を知っていただく機会になったのだと思います。

世間での「神木隆之介のイメージ」のデータを見た感想

──こちらがタレントパワーランキングによるイメージワード調査での神木さんの最新調査結果です。

「演技力がある」65.5%。うれしい!

──男女ともに「演技力がある」と回答した割合が圧倒的に高いですね。女性では76.9%に達しています。

「演技力がある」が高いのは、一番うれしいですね。それをなりわいとしているので。そう思っていただけるのなら、作品が伝えたいこと、作品を通して役が伝えたいことのメッセンジャーとして、手伝えているのかなと実感できます。

──そのほかのワードで、なるほどと思えるものや意外に感じるものはありますか?

「存在感がある」も、結構高いですね。オーラがないと言われてきた人間なので(笑)、うれしいです。演技力と存在感は、作品で演じる上で大事な要素になってくるのかなと考えると、それが高いというのは、うれしい。「個性的な」も高いんですね。

──「個性的な」は、特に男性の回答で数値が高くなっています。

男性の方が何を見て、個性的だと感じたのか、気になりますね。男性の方とお話して、必ず出てくる作品は『SPEC』なんですよね。「『SPEC』の神木さん、好きでした」と言ってくださる方が多いので、もしかするとそういう過去の作品の影響があるのかなと。

──『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(TBS系・2010年放送)は作品の世界観も個性的でしたが、神木さんが演じた一 十一(にのまえ じゅういち)という役もかなり個性的でしたね。

なかなかない役でしたよね。

──このワードを今後もっと伸ばしたいというのは、ありますか。

「活発な」ですね。実は、意外と活発です。(あまり数値が高くないのは)たぶん、今までおとなしい役が多かったからだと思います。僕は意外と、家族に何かを言われると反論するタイプなんですが、子どものころ、母親に「そんなに、ああいえばこういう性格だった?」と言われたことがあります。あとからある程度大人になって、母親といろんな話をしたときに、確かにあの頃はインドアな役や病気がちな役が多かったから、自然とおとなしい印象があって、こんがらがってしまっていたのかもしれないねと言ってました。一番近くにいる人でさえもそうなので、役の印象というのは、すごく多大な影響を与えるのかなと。

──10月にスタートする『海に眠るダイヤモンド』はタイプの違う1人2役ということで、神木さんのイメージがどう変化するのか、楽しみですね。

そうですね。「活発な」が増えると、うれしいです(笑)。

今秋、1人2役を演じる『海に眠るダイヤモンド』で「日曜劇場」初主演

──新ドラマ『海に眠るダイヤモンド』は、日曜劇場初主演となりますが、お話があったときの感想は?

うれしい気持ちと、プレッシャーもありました。日曜劇場は、『あいくるしい』(2005年)や『集団左遷!!』(2019年)に出演させていただきましたが、『集団左遷!!』では大先輩の福山(雅治)さんが真ん中でみなさんを引っ張っている姿を見ているので、相当いろんな経験を積んで、役者として、アーティストとして表現者として培ったものがある方が背負うぐらいの重いものなんだろうなと。だから、この31歳という年齢で(主演の)お話が来るとは思っていませんでした。正直、不安もあったんですけど、塚原(あゆ子)監督や脚本の野木(亜紀子)さんとお会いしたときに、自信に満ち溢れていたのがすごく印象的だったので、僕はこの人たちについていけばいいんだな、ついていこうと思えて、「参加させていただきます」というお返事をしました。主役として、みなさんの期待以上にいい作品を作れたらなと、今は前向きに「頑張ろう!」と思ってます。

──過去パートと現代パートの2役は、どのような違いがあるのですか?

ドラマの舞台になる端島は、全員が家族のような独特の空間で、その中で息苦しさを感じる人もいれば、一島一家と考えて一緒だから楽しいっていう人もいて。でも、その楽しいと考えている人も、もっと広い世界を知りたいのか、職を継いでいかないといけないのかという葛藤があって、それぞれのキャラクターごとに表現していくことが必要とされますが、その中で僕が演じる鉄平は、悩むと言うよりは元気なキャラクターでいてほしいと。のちのち、いろんな問題が起きて、どういうことを感じていくかというのはありますが、基本的には『ONE PIECE』のルフィみたいな人ですね。

一方の現代パートの玲央は、「だるい」「どうでもいい」と口癖のように言ってる、まったく無気力、無感動、無関心の男で、自分の将来のことも考えていないし、何をしたいのかも分かってないけど、流れに任せて「どうにかなるでしょう」っていう感じで生きてる。このままでいいのかなという葛藤はあるけど、それを考えることすら面倒くさい…という役だと言われました。しゃべり方も意識して変えています。そういう監督に言われた言葉から自分の第一印象で、こういうしゃべりかな、こういう姿勢かなというのを現場で実際にやりながら構築していきました。

──普段の神木さんは、2つの役のどちらに近いですか?

テンションが高くなるとルフィっぽいですけど、家ではしばらく休みの日が続くと昼夜が逆転して堕落した生活になるので(笑)、基本は鉄平だけど、ちらちら玲央も見える感じ、です。両方の面を持っているので、どちらの気持ちもわかるからよかったですね。

──撮影現場は、どんな雰囲気ですか?

ドラマの中では群像劇の部分もあって、どう島と向き合って、それぞれの人生を、そして、自分の人生以外にも、ほかの誰かの人生あるいは島の人生を背負っていかないといけないかというのがそれぞれの登場人物にあるので、なかなか難しい。でも、同世代も多くて、共演経験がある方も多いので、休み時間にはお話をして、いっしょに笑ってます。現場は和気あいあいとしていて楽しいです。遊び心を大事に、順調に進んでいます。

──神木さんが考える今回のドラマの楽しみ方、魅力を教えてください。

僕もそうでしたが、一般的には軍艦島という通称で知られている端島の当時の状況は、あまり知らない方が多いと思います。時代とともに、島がどのように駆け抜けていったのかをドラマを通じて知ることができるんじゃないかなと。島で暮らして、それぞれに思いや葛藤を抱えているいろんなキャラクターたちがいっぱい登場するので、しみじみ、各キャラクターに感情移入して見ることもできると思う。現代パートは、今の時代の人たちに寄り添っているので、そちらにも感情移入できる部分がたくさんあって、玲央といっしょに端島のストーリーを見守っていくという目線で見ることもできるのかなと。今もこうして複数の見方を言ってしまってますけど、見方が限定されない作品なんだろうなと思います。

──2つの時代を描くというのが、このドラマの特色の1つですね。

「昔はこうだったんだよ」という話を聞いたり、知ることによって、「そうなんだ」と頭の隅に置くだけでも変わっていくこともあるのかなと。変わらなくても、頭の隅に置いておくということが大事なことなのかなって思います。頭の隅に置いていたものが、今後なにかとつながっていくこともあるでしょうし。

──端島に軍艦島上陸ツアーで実際に行かれたということですが、島からどのような印象を受けましたか?

軍艦のようなシルエットが急に目の前に現れたときに、鳥肌が立って、異空間に来たような気分でした。今は入れる区域は限られていて、いろんな質問をしながら回らせてもらったんですけど、緑が多いなと思いました。建物が残っていて今は誰も住んでいませんが、活気があったんだろうな、っていう面影がなんとなくあるんですよね。もちろん、いろんな話を聞いて、その前提で見ちゃってるので、もしかしたらそういう先入観もあるかもしれないですけど、いきいきとはしていてるなと。

好きなゲームのモチーフとなった町を巡りたい

──端島と同じように、存在や名前は知っていても、どのような背景や歴史があったのか、まだまだ知られていない場所はたくさんあると思います。神木さんが旅行に行くとしたら、どういう未知なる場所に行ってみたいですか?

「FFXIV」(ファイナルファンタジーXIV)という好きなオンラインゲームがありますが、そのモチーフとなった海外のそれぞれの町を巡って、写真を撮ってみたいです。ただ、僕は英語が得意ではないので、誰かに連れていってもらえるのなら(笑)。

神木隆之介(かみき・りゅうのすけ)
プロフィール

誕生日 1993年5月19日
出身地 埼玉県
公式サイト https://co-lavo.co.jp/artist/ryunosuke_kamiki/
公式X(旧ツイッター)https://x.com/kamiki_official/

 

ドラマ 日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』

2024年10月放送開始
TBS系・毎週日曜21時~
出演:神木隆之介 斎藤 工 杉咲 花 池田エライザ 清水尋也 ・ 中嶋朋子 山本未來 さだまさし / 國村 隼 / 土屋太鳳 沢村一樹 宮本信子ほか
脚本:野木亜紀子
演出:塚原あゆ子 福田亮介 林 啓史 府川亮介
プロデュース:新井順子 松本明子

撮影/スギゾー。

文/高倉文紀
評論家。『日経エンタテインメント!』『日刊ゲンダイ』などのメディアで俳優・ドラマ演出家などの取材や分析を展開している。神木隆之介も出演したドラマ/映画『SPEC』関連書籍『SPEC magazine』(ACCESS)では特集記事「11人のウォッチャーが見たSPEC」にゲスト執筆参加。
https://note.com/tokyodiorama

———————–
・stylist
Satoshi Yoshimoto

・hairmake
MIZUHO(Vitamins)
———————–

前ページに戻る
1 2