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男女混成バンドの緑黄色社会は、10代・20代を中心に幅広い人気、国民的ヒットも時間の問題か

2020年発表の「Mela!」が特大ロングヒット、以降3作のアルバムがビルボードTOP10入り

2011年に高校の軽音楽部で編成し、18年にメジャー・デビューを果たした彼らは、20年4月にメジャー初のフル・アルバム『SINGALONG』(ビルボード最高8位)を発表。それが、初の緊急事態宣言中だったこともあり、CDの発売延期やツアーの白紙化となり、結果として大きなエールソングである収録曲「Mela!」の長期的なプロモーションに繋がった。同作は、21年11月にはストリーミングで1億回再生を突破、本作で紅白歌合戦に初出場した22年末の翌月には2億回を突破するほどのメガヒットに。

その間に、22年1月の『Actor』はビルボード4位、23年5月の『pink blue』は同7位と、3作連続アルバムTOP10入りとなったものの「Mela!」の余りのインパクトの大きさからか、『紅白』をはじめ、多くの番組でも「Mela!」の歌唱のみが多く求められることで、逆に更なる代表曲が出づらい状況でもあった。

2023年後半に新たな代表作が2作誕生し、2年連続紅白出場が決定!

その中で、2023年後半に転機が訪れる。まず、7月クールのフジテレビ系月9ドラマ『真夏のシンデレラ』の主題歌に「サマータイムシンデレラ」が、また同挿入歌に「マジックアワー」が起用される。夏の爽快なナンバーの「サマータイムシンデレラ」と、力強いミディアム曲の「マジックアワー」(CDシングルのカップリングに収録)はともにダウンロードで同時TOP10入りするほどのヒットとなり、特に「サマータイムシンデレラ」はテレビ歌唱も多く、ビルボード総合でもTOP10内に10週ランクインし、新たな代表曲となった。

緑黄色社会 「サマータイムシンデレラ」のビルボード総合&ダウンロード、ストリーミング、CD 各チャート状況

続く、10月にはアニメ『薬屋のひとりごと』のオープニング曲に「花になって」が起用され、同月末には先行配信されると、アニメタイアップということや、リョクシャカならではのインパクトある歌声やメロディーセンスからダウンロードでは7週連続TOP5入り。その後、CDシングルは自身初のTOP10入り、ストリーミングでもTOP10目前となるほどの総合的なヒット曲に。こうした2大ヒットが出たことで、23年もNHK紅白歌合戦に連続出場、第65回日本レコード大賞の大賞ノミネート作となる優秀作品賞にも初めて選ばれることになった(受賞曲は「サマータイムシンデレラ」)。

緑黄色社会 「花になって」のビルボード総合&ダウンロード、ストリーミング、CD 各チャート状況

タレントパワーは、2年間で約8割アップ!10代・20代を中心に幅広い年代で上昇!

そんな彼らのタレントパワーを21年11月と23年11月を比べてみると、全体で10.2ポイントから17.9ポイントと約8割の急成長を遂げている。10ポイントは、“周囲に知っている人はそこそこ”程度だが、20ポイントとなると、“ほとんどの人が知っている”レベルにほぼ近づいたと言えるだろう。これを男女それぞれの年代別で見てみるとより明確に分かる。

 

まず、男性×年代別では、21年に10代前半のみ突出していたのが、23年には10代から20代全体に広がる。また、女性×年代別では、21年時点では男子より顕著だがまだ10代中心。しかし、23年では10代・20代では30ポイント、つまりTOPアーティスト級の大人気となっている。また、男女ともに30代以上も決して低くないのが彼らの強みだ。ストリーミングよりもダウンロード順位が好調なのは、単にアニメやドラマタイアップが多いというだけではなく、より幅広い中高年層にも支持されているという証でもあるのだろう。

「花になって」の初回生産限定盤では、彼らの音楽愛が映像や写真からも!

そんな彼らの最新シングル「花になって」は、これまで以上に躍動感あふれるアップテンポのナンバー(作曲はベースの穴見真吾)。ボーカルの長屋晴子が手がける歌詞も、相手を心底励まそうとこれまで以上に言葉の強さが際立っている。そして、CDのカップリング曲となる「夢と悪魔とファンタジー」(作詞はギターの小林壱誓、作曲は穴見とキーボードのpeppeの共作)は、海外の童話のような、少し恐ろしくもファンタジックな世界を描きつつも、未来に向けて夢を持つことの大切さを歌ったポップス、というかなり変わった楽曲。4人とも詞曲を手がけられるということも、このバンドの音楽性のレパートリーの広さにも繋がっているのだろう。なお、本作の初回生産限定盤には、『pink blue tour』のドキュメンタリー映像やそのフォトブックを収録。彼らは、本当に音楽が好きなんだなぁと思えるような表情が満載だ。

音楽の高いクオリティーと大衆性を兼ね備えた彼ら。レーベルの先輩にあたる、いきものがかり同様、今後、朝ドラの主題歌など国民的なタイアップ等をキッカケにさらに上の年代にも広がるのも時間の問題のような気がする。

緑黄色社会 「花になって」ジャケット画像

 

男女4人組バンドの緑黄色社会は10代・20代の女性に人気!話題のアーティストのセールス状況や新作の内容、タレントパワーランキングを見ながら、そのヒット傾向を読み解く『臼井孝のヒットは複眼で探せ!...

 

著者プロフィール

うすい・たかし。1968年京都府出身。地元大学大学院理学研究科修了、専攻は理論化学(だったはず)。総合化学会社、音楽系広告代理店での数値解析やマーケティング実務を経て、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、音楽分析や配信サイトの選曲、コンピレーションや復刻CDの企画のほか、日経エンタテインメント!やデイリー新潮、Re:minder、共同通信 等で愛と情熱に満ちたコラムを執筆中。カバーアルバムは約1000枚所有、これまで50作前後を企画。X(旧Twitter)は @t2umusic(よかったらフォローして下さい♪
☆各種ストリーミングサービスにて大人向けのプレイリスト『おとラボ』を選曲しています♪
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