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紅白効果で「怪獣の花唄」がカラオケ首位独走!10代男子と幅広い女性に人気のVaundy

ジャンルレスな音楽性と軽々と飛び越える上質な歌声は、ポスト・山下達郎?

Vaundy(バウンディ)は2000年生まれのシンガーソングライターで、作詞、作曲、編曲さらには自身のミュージックビデオやジャケット等のアートワークも手がける多才な人物。ロック、ポップ、ヒップホップ、EDM、また昭和のフォーク風の楽曲もこなすほどジュンルレスな音楽性と、異なるジャンルを軽やかに飛び越えるハイクオリティなボーカルが魅力。メディアには殆ど出演しないものの、多くの楽曲でタイアップを獲得(これには、彼がスターダストプロモーション傘下のレコード会社所属も大きいだろう)し、タレント活動に依存せず常に音楽性と歌声で勝負している。その点では、山下達郎や初期の槇原敬之のような存在が近いかもしれない。

2019年11月リリースの「東京フラッシュ」以降、2020年7曲、2021年7曲、2022年7曲、そして2023年は3月までに2曲を配信限定で次々と楽曲をリリースし、CDシングルのリリースは2022年2月の「裸の勇者」(アニメ『王様ランキング』オープニング)のみ。そうして、間断なくキャッチーな新曲を(その多くがタイアップを獲得)リリースすることで、2020年5月リリースの1stアルバム『strobo』もロングセラーを維持してきた。

ストリーミング人気の維持で、2020年のアルバムがロングヒットに

ビルボードの年間ランキングのストリーミング部門でTOP100入りした楽曲を見てみると、
2020年:0曲(ただし「不可幸力(※)」と「東京フラッシュ(※)」がTOP200内)
2021年:5曲(「napori(※)」32位、「不可幸力(※)」40位、「怪獣の花唄(※)」76位、「世界の秘密」87位、「東京フラッシュ(※)」98位)
2022年:5曲(「踊り子」23位、「怪獣の花唄(※)」47位、「napori(※)」65位、「不可幸力(※)」72位、「恋風邪にのせて」75位)

と、徐々にヒット感が高まっているのが分かる。興味深いのは(※)で示した1stアルバム『strobo』収録曲の最大人気曲が、2020年:「不可幸力」→2021年:「napori」→2022年「怪獣の花唄」と入れ替わることで、常にアルバムが新鮮であり続けたことに影響しただろう。

ビルボードチャートで見た「カラオケ」「ストリーミング」「ダウンロード」「動画再生」の22年末→23年始の推移
「怪獣の花唄」カラオケ歌唱傾向 (JOYSOUNDデータより)

紅白効果で、全部門が上昇!特に10代・20代の人気でカラオケは1位独走中!

そうした実績から、2022年末にNHK紅白歌合戦に「怪獣の花唄」に初出場。その結果、元々好調だったストリーミングのみならず、ダウンロードでも週間1位を獲得、動画再生でもTOP10入りと急上昇。大きくファン層が広がったと言える。特に、人気なのがカラオケで、2022年からTOP30前後を推移し、年間39位となっていたものの、紅白出場後TOP10入り、2023年3月からは1位をキープしている。”紅白なんて、若者は誰も見ない”と言われがちだが、JOYSOUNDの性別×年代別のカラオケ歌唱傾向を見ると、10代男子+20代男女が圧倒的でやはり、紅白効果は若い世代にも健在と言えるだろう。

タレントパワースコア 全体、全男性、全女性: 2022年8月→2023年2月

タレントパワーを見ると、10代男子と幅広い女性に確実に浸透、2023年の大ブレイク必至

そんなVaundyのタレントパワーのスコアを、2022年8月と比べてみると、全体では+2.2ポイント、全男性では+3.4ポイント、全女性では+1.1ポイントと、これまでストリーミングから大ブレイクしたあいみょんやOfficial髭男dismと比べるとやや控えめに見える。これは、彼らがブレイク時期にテレビの大型特番などで大量に出演したことで、より大きな波に乗ったのに対し、Vaundyの場合は紅白後もメディア露出を抑えていたことの違いが大きいかもしれない。

ただし、年代別を見ると、男性では10代の突出ぶりが顕著となり、また女性ではより幅広い年齢層に広がっていることが分かる。特に、女性にこれだけ広がっていることから、今後オリジナルアルバムが出るならば、一気にCDおよびダウンロードセールスが伸びる可能性が大きい。そのことが社会現象化すれば、幅広い年代の男性ファンにも広がるかもしれない。カラオケ、アルバムのいずれでも、2023年大いに期待される逸材と言えるだろう。

Vaundy 1stアルバム『strobo』ジャケット画像

著者プロフィール

うすい・たかし。1968年京都府出身。特技は1975年以降のバースデーソング占い(笑)。地元大学大学院理学研究科修了、専攻は理論化学(だったはず)。総合化学会社、音楽系広告代理店での数値解析やマーケティング実務を経て、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、音楽分析や配信サイトの選曲、コンピレーションや復刻CDの企画のほか、日経エンタテインメント!やfumu fumu news、共同通信加盟社の各地方の新聞等で愛と情熱に満ちたコラムを執筆。Twitterは @t2umusic(よかったらフォローして下さい♪)

☆各種ストリーミングサービスにて大人向けのプレイリスト『おとラボ』を選曲しています♪

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