話題のアーティストのセールス状況や新作の内容、タレントパワーランキングを見ながら、そのヒット傾向を読み解く『臼井孝のヒットは複眼で探せ!タレントパワーランキング編』。第101回目は、11月に解散したV6に注目。(メンバーは坂本 昌行、長野博、井ノ原快彦、森田剛、三宅健、岡田准一の6人。)
シングル53作はすべて週間TOP5入り、総売上は1040万枚以上
2021年11月1日の幕張イベントホールでのLIVEをもって、1995年11月1日以来まる26年間の活動にピリオドを打ったV6。メンバーそれぞれが、テレビ、ドラマ、映画、舞台などで活動が忙しい中でも、一人も抜けることなく毎年CDをリリースし、何らかの音楽活動を継続していた。V6名義でのシングルは53作、総売上は1040万枚以上(オリコン調べ)、そのすべてがオリコンTOP5入りしている(うち33作が1位を獲得)。
カラオケ人気曲には中後期のシングルやアルバム曲も多数、音楽的魅力に溢れている
表に、シングルCD売上と、カラオケ歌唱回数の各TOP20を記した。シングルの上位は、松井五郎×玉置浩二作品のエールソング「愛なんだ」、デビュー曲のユーロビード「MUSIC FOR THE PEOPLE」、ピースフルなミディアム・チューン「WAになっておどろう」など、初期5年間の楽曲が殆どなのに対し、カラオケ上位は小雪と松本潤が出演したドラマ主題歌の「Darling」、応援団風の衣装や振付が話題だった「HONEY BEAT」、ピアノを基調とした寂しげなバラード「君が思い出す僕は 君を愛しているだろうか」、さらにラストシングルとなった「僕らは まだ」などそれ以降の楽曲も多い。
また、『学校へ行こう!』テーマ曲だった「Can do! Can go!」、一途なラブソングの「Maybe」、2021年の『みんなのうた』にもなった「素敵な夜」などアルバム収録曲も多い。つまり、ヒット曲こそ初期に集中しているものの、中後期のシングルもアルバム収録曲もちゃんと愛されているグループだったのだ。やはり、そこには若さや元気で引っ張っていくComing Centuryの3人と、確かな歌唱力やパフォーマンスで支える20th Centuryの絶妙なコンビネーションがあったからだろう。
なお、カラオケ部門のダントツ1位は、長野博が主演をつとめた特撮『ウルトラマンティガ』の主題歌。これも意外とファン層を大きく広げている。
タレントパワーは全体でTOP20級。20代から30代の女性では国民的スター級
解散前の最新データとなる2021年8月のタレントパワーのスコアを見てみると、全体では31.3ポイント。これは音楽系アーティストとしては10位から20位に入るレベルでかなり上位。ジャニーズ勢の中でも音楽活動休止中の嵐、TOKIOを除けば、KinKi Kids、V6に次ぐ2番手だ。
CDセールスでは連続1位記録を保持する他のグループよりも地味に映ったかもしれないが、やはり多岐にわたる活躍でCDセールスでは測れない人気を維持してきたのだ。特に、女性の10代後半から30代では50ポイント前後で、これは国民的スター級。この年代は、彼らがレギュラーをつとめた『学校へ行こう!』シリーズ(1997年~2008年、その後何度か特番で復活)の影響力も大きいだろう。
最新ベストアルバムが20万枚超のヒット。どの形態でも彼らの音楽的成長がよく分かる
そんな彼らの最新ベストアルバムは『Very6 BEST』10月末に発売以来4週間で累計22万枚を突破し、2021年度の年間TOP20級のヒットとなっている。
これまでの代表的なシングルと新曲「Full Circle」と「クリア」を収録した2枚組を共通としつつ、アルバム代表曲とMusic videoを収録した初回盤A、Coming Centuryや20th Centuryの楽曲多めのCDと『みんなで選んだV6大辞典』のドキュメントを収録した初回盤B、さらにリアレンジやリボーカルのCDと『みんなで選んだV6大辞典』の冊子がついた通常盤が発売されており、どの形態も魅力的なことも高セールスの要因だろう。本作を聴くと、2000年代前半までは、バレーボール系のタイアップや『学校へ行こう!』のテーマ曲など応援歌や青春賛歌が圧倒的に多いが、CD1位が確約されなくなった2010年前後あたりから、あえてヒット路線を狙わないディスコチューンやEDM系など音楽的に興味深い作品が断然多くなっている。
そうした成長ぶりもよく分かるベスト盤は、J-POPの変遷や彼らの成長の証を存分に堪能できる作品だろう。今後の各メンバーの活躍も期待せずにいられない。
著者プロフィール
うすい・たかし。1968年京都府出身。特技は1975年以降のバースデーソング占いw。地元大学大学院理学研究科修了、専攻は理論化学(だったはず)。総合化学会社、音楽系広告代理店での数値解析やマーケティング実務を経て、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、音楽分析や配信サイトの選曲、コンピレーションや復刻CDの企画のほか、日経エンタテインメント!や週刊女性PRIMEで愛と情熱に満ちたコラムを執筆。Twitterは @t2umusic(よかったらフォローして下さい♪)
☆コミュニティFM「渋谷のラジオ」にて水曜12時から『渋谷のザ・ベストテン』というベテラン・アーティスト中心の音楽番組を生放送でお送りしています。専用アプリから全国で生放送が聴けますし、過去のトーク部分は番組の(『渋谷のザ・ベストテン』note) から聴くことができます。よろしければ♪
☆少年隊・植草克秀さんのロングインタビューがfumufumu newsにて随時掲載されていきます!懐かしのヒット曲から近況まで深掘りするのにどうぞ♪
☆各種ストリーミングサービスにて大人向けのプレイリスト『おとラボ』を選曲しています。♪
これまでのまとめはコチラ
☆歌いたい!カラオケ☆ヒッツ!アニソン90s00s
☆秋のうた 冬のうた~ハートフル・ラブソング
☆このカバーがスゴい!逆転超越名曲COVERS
☆ロングヒット中(第13弾:絶品!絶唱!このカバーがスゴい!名曲COVERS)