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20代のタレントパワーが復活上昇!25周年を迎え、今なお高い人気のポルノグラフィティ

これまで51作のシングルCDがTOP10入り、ダウンロードやサブスクもヒット作あり!

ポルノグラフィティは、90年代半ばに大阪で結成しストリートライブやイベントで演奏し、当時はシンガーソングライターのaikoもインディーズ時代の仲間だったという。その後、99年9月にボーカルの岡野昭仁(アキヒト)、ギターの新藤晴一(ハルイチ)、ベースのTamaの3人で、シングル「アポロ」にてメジャーデビューを果たす(3人はいずれも広島県因島出身)。「アポロ」がオリコン最高5位となり、以降も「ミュージック・アワー」「サウダージ」「アゲハ蝶」「メリッサ」など00年代には6作の1位を含むヒットを連発(特に「サウダージ」はミリオン認定)、24年の52ndシングル「解放区」まで合計51作ものシングルがオリコンTOP10入り、またその間に発表したオリジナル・アルバム全12作はすべてTOP10入りを果たしている。また、CDセールスのみならず、音楽配信も好調で、「サウダージ」と「アゲハ蝶」は50万ダウンロードを突破し、「サウダージ」はストリーミングでも1億回を突破している。

ラテン系のヒット曲多数、そのカギは二人のアクの強さ!

これだけ長期的に活動しつつ、全方位でヒットを量産できるという点で、日本屈指のロックバンドである彼らの特長は、どのシングルもタイアップが付きそうなほどキャッチーなことだろう。この点は初期にプロデューサーやコンポーザーとして本間昭光が参加していたことも大きい。特に、「サウダージ」「アゲハ蝶」「メリッサ」「オー!リバル」とラテン・テイストを盛り込んだポップロックを次々とヒットさせているのは、彼らの大きな強みで、これはアキヒトの類まれな存在感の大きなボーカル、ハルイチの随所にフックのある歌詞やギターのフレーズがあるからこそ、アクの強さが求められるラテン系との相性が抜群だと考えられる。特に、アニメ・タイアップがつくロックバンドはかなり限られており、これもポルノグラフィティのファンの若返りにその都度貢献してきた。

『THE FIRST TAKE』とカラオケ系の番組で人気復活!

そんな彼らも、2010年代以降はシングルのセールスが5万枚前後となる時期が続き、連続ヒットをしているとはいえ、ファンがコア化していた。しかし、21年、YouTubeの一発撮りチャンネルとして人気の「THE FIRST TAKE」にて「サウダージ」を披露したところ、SNSでトレンド入りするほどの上昇ぶりをみせ、翌22年にはカラオケが年間TOP30入り。

この頃から、『千鳥の鬼レンチャン』『モニタリング』『オオカミ少年・ハマダ歌謡祭』などカラオケ企画を取り込んだバラエティー番組が人気となり、芸人やタレントが「サウダージ」を歌うたびに、翌日のストリーミングやダウンロードが上昇し、ストリーミングでは発売から22年目にして年間TOP300入り、23年にはカラオケ7位、ストリーミングも年間TOP200入りするほどの人気で、ビルボードジャパンでも年間99位と異例のTOP100入りを果たした。23年9月には、「THE FIRST TAKE」に二度目の出演を果たし、本年は「アゲハ蝶」の上昇ぶりも見られる。

2024年8月タレントパワースコア/全体+男女別

タレントパワーでは20代から50代まで人気を広げつつ、男女別もバランス良好

彼らのタレントパワーを、24年8月と5年前の19年8月で比較してみよう。全体では23.1→23.2ポイントとほぼ変わらないが、男女のスコアが(18.8,27.3)→(21.6,24.7)と、よりバランスが取れたものとなっている。特に、年代別で見ると、19年にあった30代前後の女性の高いピークが和らいだものの、24年には20代から50代まで幅広い年代に支持されていることが分かる。これは、25年のキャリアを持つアーティストの中では驚異的なファンの分布と言えるだろう。

2019年8月タレントパワースコア/全体+男女別

25周年のオールタイムベストは豪華ブックレット付、音楽はライブ映えする近年の曲が魅力的

そんな彼らは24年9月に全シングルを収録したCD4枚組『ポルノグラフィティ全書~ALL TIME SINGLES~』を発表。リリース順通りに聴いてみると、初期の“どれを聞いても超キャッチー”なのも見事だが、DISC 3の後半以降、より激しいロックナンバーから、よりしんみりとしたバラードまで幅が広がっているのもじわじわと胸に響く。その答えが、本作と同時リリースのライブ映像『19thライヴサーキット “PG wasn’t built in a day” Live at TOKYO ARIAKE ARENA 2024』にあり、近年の曲ほど、歌と演奏だけでも十分魅了するものが多いように感じた。それでいて、終盤に「ハネウマライダー」「アポロ」「サウダージ」「オー!リバル」「アゲハ蝶」でお祭り級の盛り上がりもあり、こうした手腕こそ、サザンオールスターズや福山雅治を長く活躍させているアミューズのお家芸だと確信した。

なお、『ポルノグラフィティ全書』のCDには、初回盤にも通常盤にも、150ページ以上に及ぶオールカラーのブックレットが付き、当時のインタビュー記事と、今だから語れる2人それぞれのライナーノーツが収録されている。本作を入手すれば、ますます彼らの音楽が好きになるはず。この豪華な装丁のブックレットは、今後永続的に発売されるのだろうか…と、心配になるほど豪華です!

(左;ポルノグラフィティ 『ポルノグラフィティ全書~ALL TIME SINGLES』通常盤ジャケット(全シングルがピンバッジ風に!)、

右:ライブ映像ソフト『19thライヴサーキット “PG wasn’t built in a day” Live at TOKYO ARIAKE ARENA 2024』ジャケット)

著者プロフィール

うすい・たかし。1968年京都府出身。地元大学大学院理学研究科修了、専攻は理論化学(だったはず)。総合化学会社、音楽系会社での数値解析やマーケティング実務を経て、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、音楽分析やストリーミングサービスでのプレイリスト選曲、コンピレーションや復刻CDの企画のほか、日経エンタテインメント!やデイリー新潮、Re:minder、共同通信 等で愛と情熱に満ちたコラムを執筆中。カバーアルバムは約1000枚所有、これまで50作前後を企画。

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