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幅広い女性層に加え20代男性にも人気のOmoinotake、2025年は更なる飛躍となるか

Omoinotake(左より、 冨田洋之進/ドラゲ (Dr.)、藤井怜央/ レオ(Vo./Key.)、福島智朗/エモアキ(Ba.) )

島根県出身の3ピースバンド、『チェリまほ』のドラマや映画で話題に

Omoinotakeは、島根県出身の藤井怜央 / レオ(Vo,&Key.)、福島智朗 / エモアキ(Ba.)、冨田洋之進 / ドラゲ(Dr.)の3人からなる

ピアノ・トリオバンドで、中学生の同級生同士が2012年に東京で結成した。インディーズ時代の2020年に配信リリースされた「産声」がテレビ東京系ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』のオープニングテーマに起用され、その繊細な歌声がドラマの内容とシンクロし話題となったのが、Omoinotakeが最初のポイントと言えるだろう。

また、2021年11月のメジャーデビュー後は、「EVERBLUE」がアニメ『ブルーピリオド』オープニングテーマに、「心音」が映画版の『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』の主題歌にそれぞれ起用されるなど、グルーヴ感がありつつ泣けてきそうな気持ちにさせる楽曲が人気となり、2023年9月リリースのメジャー1stアルバム『Ammolite』はビルボードジャパンのCD38位、ダウンロード49位と共にTOP50入りを果たした。

「幾億光年」はドラマ終了後も楽曲のチカラでロングヒット、ビルボード年間3位に!

その後、2024年に入り「幾億光年」(1月に配信、2月にCDリリース)が、二階堂ふみ主演のTBS系火曜22時枠ドラマ『Eye Love You』の主題歌に抜擢。同ドラマは平均視聴率こそ5.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と決して高くなかったものの、超能力を持つ女性が、年下の外国人男性と恋愛するという胸キュンのテーマからSNSで徐々に話題を呼ぶように。そして、その主題歌の方もポップな曲調や落ち着きのある演奏、さらに繊細なハイトーンボイスが話題を呼びラジオ部門は早々に1位、またドラマ主題歌ということでダウンロードも上昇し、ビルボードジャパンでは初登場98位→13位→13位→8位と、登場4週目でTOP10入り、さらにドラマの終盤には週間2位まで上り詰めた。しかも本作は、ドラマ終了後もストリーミングでの上位が続き累計再生回数は3億回を突破し、ビルボード総合も28週連続TOP10入り、そして年末の音楽特番に出始めると、再びTOP10内に返り咲いており、年間では堂々の3位となった。これは紛れもなく、楽曲の魅力ありきのロングヒットで、どんどん変わっていく曲調や、とことん日本語にこだわった繊細な歌詞、そしてそれらを紡ぐ歌声や演奏で、本作の魅力がどんどん深掘りされていくという魅力が考えられる。

Omoinotake 2ndアルバム『Pieces』 (通常盤)

2025年1月リリースのアルバム『Pieces』は美しい歌声、言葉、演奏の三拍子そろった傑作

そして、数多くの音楽特番で再浮上を果たした2025年1月29日にメジャー2ndアルバム『Pieces』がリリース。本作は、大ヒット中の「幾億光年」のほか、日本テレビ系ドラマ『潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官』主題歌の「ラストノート」、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』エンディングテーマの「蕾」など合計6作のタイアップ曲が収録される予定だが、それら以外にも、荒々しくも透明感のある「P.S.」、楽曲の途中でジャジー&クールに突き抜ける「アイオライト」、無機質なEDMの中、孤独に巻き込まれていく「フラジャイル」、そして、誰かと夢を描き続けることの大切さを温かく歌った「Pieces」と、とにかく、美しい歌声、美しい言葉、美しい演奏の楽曲が続くので、ブレイク直後ながら今後オトナ世代にも人気が出そうな気がする。

Omoinotake タレントパワースコア (2024年11月) (左上:全体+男性+女性、右上:男女×年代別 、左下:男性×年代別、右下:女性×年代別)

タレントパワースコアは、幅広い女性+20代男性に人気、紅白出演→アルバム発売→ツアーで躍進確実!

そんな彼らのタレントパワースコア(2024年11月)を見てみると、全男性7.2ポイント、全女性8.1ポイントと、男性バンドでは珍しく男女の偏りがあまり見られない。さらに、年代別も見てみると、男性では20代に突出しており、繊細な歌声が若い男性に突出して受け入れられていることが分かる。これに対し、女性では10代、20代が10ポイントを超えているものの、40代、50代前半でも8~9ポイントと、若手の割に伸びており、彼らの洗練された音楽性が幅広い年代に広がりつつあることがよく分かる。

ただし、これは「2024年11月」時点のスコアなので、大きな反響のあった第75回『NHK紅白歌合戦』の出演、そして緻密に作られた2ndアルバムの発売、さらにその後の全国ツアー『Omoinotake One Man Tour “Pieces”』の開催で、さらにファンが増えることを期待したい。今後は、音楽性のみならず、島根県出身らしい素朴なキャラからも意外と人気が出るのではと期待している。

著者プロフィール

うすい・たかし。1968年京都府出身。地元大学大学院理学研究科修了、専攻は理論化学(だったはず)。総合化学会社、音楽系会社での数値解析やマーケティング実務を経て、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、音楽分析やストリーミングサービスでのプレイリスト選曲「おとラボ」「レコメモ」のほか、日経エンタテインメント!やデイリー新潮、Re:minder、共同通信 等で愛と情熱に満ちたコラムを執筆中。カバーアルバムは約1000枚所有、これまで50作前後を企画。

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