一発屋芸人とは?
一時期ブレイクするものの、その後の活躍をあまり聞かないタレントは『一発屋』と呼ばれることがあります。その理由や、最近の傾向について解説します。
一発屋芸人になってしまう理由
2003年頃から、テレビでは『エンタの神様』や『爆笑レッドカーペット』といったネタ見せ番組が増え、お笑いブームが続いていました。
多くの芸人が登場するネタ見せ番組では、芸人1人1人に与えられる時間が限られています。つまり芸人側は、短い時間で見る人にインパクトを与えないといけません。
分かりやすいのが印象の強いフレーズを繰り返し用いたり、耳に残る歌ネタだったり、強烈なキャラクターであったりです。これらは短時間で印象に残るため、ネタ見せ番組で使われやすいでしょう。
しかし飽きられやすいというデメリットも抱えており、結果的に一発屋になってしまうケースもあります。
最近は一発屋が少ない?
「最近は一発屋をあまり見なくなった」と、感じている人もいるのではないでしょうか?2000年代に始まったお笑いブームは徐々に落ち着き、近年ではネタ見せ番組も以前より減りました。
バラエティ番組はトーク主体のものが増え、そこでは強烈なキャラクター・歌ネタよりも、アドリブ力であったりトークの切り返し力であったりが求められます。
短い時間でインパクトを残す芸風とは逆のものなので、一発屋が生まれにくい土壌となっているといえるでしょう。
またトーク番組でも、コロナ禍の影響により共演者同士の間に、アクリル板が設置されるケースが増えました。
以前は出演者同士のトークの絡みから人気フレーズが生まれることもよくあったようですが、ここ数年出演者同士の距離が開いたことで、流行しそうなフレーズがトークの中から生まれにくくなったという見方もあるようです。
お笑いの流れが変わってきている
一発屋芸人に限った話ではありませんが、単純に一昔前と今とでは、お笑いの流れそのものが変化してきているという時代性もあるでしょう。
例えば、近年は笑いが多様化し、必ずしも派手なドッキリ・過激ないじりがウケる時代ではなくなってきました。
傷つけない笑いや幅広い世代に向けたお笑い、女性にウケやすいネタなど、あらゆる笑いが増えています。一発屋の分かりやすいフォーマットだけが視聴者の印象に残る時代から、変化してきているといえます。
一発屋になりそうな芸人ランキングの算出方法
一発屋になりそうな芸人ランキングは、『株式会社アーキテクト』が実施しているタレントパワーランキングの最新調査結果をもとに抽出しました。ランキングの調査方法について紹介します。
当社独自の集計方式で算出
一発屋になりそうな芸人ランキングは、株式会社アーキテクトが実施する業界最大規模のタレント調査『タレントパワーランキング』に登録されている、お笑いタレントの『一発屋の予感』イメージでスコアを算出し、こちらのデータからランキングが作成されています。
世間が一発屋というイメージを持つ、お笑い芸人を人気順に上位8名選出し、ランキング形式でまとめました。
今回のランキングは、2022年度に行われた調査(調査対象は10代・20代の男女)をもとに作成しています。
一発屋になりそうな芸人ランキング
順位 | タレント名 | 「一発屋」スコア | 調査時期 |
1位 | お見送り芸人しんいち | 63.4 | 2022年 |
2位 | ZAZY | 51.5 | 2022年 |
3位 | あらぽん(ANZEN漫才) | 44.5 | 2022年 |
4位 | きつね | 42.6 | 2022年 |
5位 | ハリウッドザコシショウ | 40.8 | 2022年 |
6位 | ぱーてぃーちゃん | 40.6 | 2022年 |
7位 | オダウエダ | 40.3 | 2022年 |
8位 | JP | 40.2 | 2022年 |
一発屋になりそうな芸人ランキングには、見た人の記憶に残りやすく、流行しやすいネタを持つ芸人が多く入りました。どういった持ちネタがあるか、見ていきましょう。
1983年生まれ、モノマネを得意とするお笑い芸人です。モノマネライブやバラエティ番組を中心に活躍しています。
特にダウンタウン・松本人志をマネしたネタが有名で、メイクから仕草、喋り方まで完成度の高いモノマネを披露しています。
これまでに『千原ジュニアのヘベレケ』『有吉クイズ 特別編』『THEカラオケ☆バトル』といった番組に出演してきました。
吉本興業所属のお笑いコンビで、小田結希・植田紫帆の2人で活動しています。東京NSCの19期生でした。
2020年に『女芸人No.1決定戦 THE W 2020』で決勝進出を果たしているほか、2021年には『シモネタGP2021』優勝、そして『女芸人No.1決定戦 THE W 2021』でも優勝した近年注目のコンビです。
ネタは主にコントで、個性がありつつ細かいところまで練られたネタを持ち味としています。
ワタナベエンターテインメント所属のお笑いトリオで、金子きょんちぃ・すがちゃん最高No.1・信子の3人組です。
2022年に『ぐるナイおもしろ荘』に出演すると、そこから一気に注目されました。ギャルっぽい見た目の女性2人と男性1人、という組み合わせの新鮮さが功を奏した形です。
パリピ要素を取り入れた漫才や、指でハイブランドのロゴを表すポーズなどが若い世代を中心にウケています。
1974年生まれ、ソニー・ミュージックアーティスツ所属のお笑い芸人です。大阪NSC11期生でした。
42歳で『R-1ぐらんぷり』2016優勝の経験があり、史上最年長王者を記録しています。現在多くのバラエティ番組で活躍しており、またライブにも精力的に出演中です。
『誇張しすぎた○○』というネタが有名で、もとの有名人がイメージできなくなるほど原型から離れたモノマネが、人気を集めています。
ホリプロ所属のお笑いコンビで、大津広次・淡路幸誠の2人組です。バラエティ番組『有吉の壁』に準レギュラーとして出演しています。
音を駆使した漫才が得意で、特に歌謡漫才は懐かしさを感じながらも、今風の要素も取り入れた、独自性の高いネタです。
バラエティ番組への露出も増え始め、『ダウンタウンDX』『有吉ゼミ』『千原ジュニアのヘベレケ』などに出演した経歴があります。
浅井企画所属のお笑いコンビ『ANZEN漫才』として、相方のみやぞんと活動している芸人です。どちらも東京都足立区出身で、幼馴染みとして知られています。
コンビ名はANZEN漫才ですが、得意な持ちネタは歌ネタで、特に『足立区の歌』は足立CMグランプリで2年連続足立区長より受賞しているほど浸透しています。
近年は個々での活動も目立ち、あらぽんはナレーションを担当したり声優に挑戦したり、ひょうたんアートという変わった活動も始めていたりと、マルチに活躍中です。
吉本興業所属のお笑い芸人で、NSC大阪の33期生でした。金髪にメガネ、ピンクの羽を付けた派手なルックスが印象的です。
フリップを用いた歌ネタが得意で、これまでに『歌ネタ王決定戦』では何度も準決勝に進出しています。R-1ぐらんぷりにも出場し、2018年には準決勝まで進出しました。2021年・2022年のR-1グランプリでは準優勝もしています。
「なんそれ!」のフレーズでおなじみで、ネタのオチとして持ってくることもあります。2023年には1年ぶりの単独ライブも行い、これからさらに活躍が期待される芸人です。
グレープカンパニー所属のお笑い芸人で、バラエティ番組やお笑いライブで活躍しています。ギターを弾きながら歌う歌ネタが得意で、R-1グランプリ2022では優勝も果たした実力者です。
ちょっとした毒が混ざるネタもありますが、つい笑ってしまうのが魅力でしょう。2023年には『人気ピン芸人大集合!陣内バカリの最強ピンネタ20連発SP』で、半年間ほど温めていたという攻めたネタも披露しました。
一発屋から巻き返す芸も期待してみて
一発屋になりそうというイメージがある芸人は、見た目のインパクトが強かったり、キャッチーな歌ネタを持っていたりと、短時間で印象に残りやすい人が少なくありません。
その分飽きられやすいというデメリットもありますが、ネタ見せ番組が減ってきた近年では、キャッチーなネタ以外で巻き返しを図る芸人も多くいます。
一発屋と思われている芸人たちが、どういった芸風・ネタで再び人気を再燃させるのか、注目しながらバラエティ番組を見てみてはいかがでしょうか。