50代の人が若かった頃は、日本の音楽界の状況と音楽に触れる環境が、現在とは大きく異なっていました。黄金期を経験した50代は、どのようなアーティストを好むのでしょうか?50代に人気のあるアーティストをランキング形式で紹介します。
50代が好きなアーティストの傾向
近年はテレビ・ラジオだけでなく、ネットからも多くのアーティストが登場しています。若い頃にネットが普及していなかった50代は、どのようなアーティストが好きなのか、その傾向について分析してみましょう。
「今」と「昔」のどちらにも対応できる年代
現在の20~40代は、J-POPを好んで聴く傾向があります。歌詞が耳に入りやすく、カラオケはもちろん、日常でも口ずさみやすいという理由からです。
50代はテレビで知った新しいJ-POPに加え、『懐メロ』といわれる昔の曲も好む傾向があります。50代は今と昔の、どちらにも対応できる年代といえるでしょう。
なお60代以上は、演歌や民謡、クラシックを好む人の割合が増えます。
若いときに流行った曲は今も好き
50代の人が若かったとき、日本の音楽界は黄金期でした。70~80年代のニューミュージックブーム、80~90年代にはバンドブームやJ-POPブームが訪れたのです。
「この曲が流行った頃は、あんなことがあったな」と昔を思い出し、懐かしい気持ちになる人は少なくありません。
例えば、バンド・REBECCAの『フレンズ(1985年)』は当時ヒットしただけでなく、REBECCAの再結成により2015年の紅白歌合戦で披露され、話題になりました。
また、シンガーソングライター・尾崎豊の『I LOVE YOU(1991年)』は、全世界で1,000万枚の売上を叩き出したほどの有名な曲です。映画『ホットロード(2014年)』で使われたことで、こちらも再ブレイクしました。
若い世代が新鮮な気持ちで聴いている曲を、50代は懐かしい気持ちも持って楽しんでいるのです。
楽しむのはテレビからが多め
20~30代は、インターネットで音楽を聴く人が多いのが特徴です。YouTubeやTikTokなどで知った音楽を、サブスクリプションで探して楽しみます。
一方の40~50代は、テレビ・映画・ラジオなどで流れている曲を聴き、最新のJ-POPを追う人が多い傾向です。その後ネットで調べて、サブスクリプションで探したり、CDを購入したりして、音楽を発掘していきます。
50代に人気のアーティストランキングの算出方法
50代に人気のアーティストランキングは、『株式会社アーキテクト』が実施している、タレントパワーランキングの調査結果をもとに抽出しました。ランキングの調査方法について紹介します。
当社独自の集計方式で算出
50代に人気のアーティストランキングは、株式会社アーキテクトが実施する業界最大規模のタレント調査、『タレントパワーランキング』をもとにパワースコアを算出し、そのデータからランキングが作成されています。
パワースコアとは調査結果をもとに、タレントの認知度(顔と名前を知っている)と誘引率(見たい・聴きたい・知りたい)を掛け合わせた値です。
今回のランキングは、2022年5〜8月度に行われた調査をもとに作成しています。
50代に人気のアーティストランキング【バンド】
順位 | タレント名 | スコア | 調査時期 |
1位 | サザンオールスターズ | 47.5 | 2022年8月 |
2位 | DREAMS COME TRUE | 38.0 | 2022年5月 |
3位 | Mr.Children | 30.5 | 2022年8月 |
4位 | スピッツ | 30.2 | 2022年8月 |
5位 | THE ALFEE | 29.8 | 2022年8月 |
6位 | ゆず | 29.0 | 2022年8月 |
7位 | いきものがかり | 28.7 | 2022年8月 |
8位 | X JAPAN | 25.3 | 2022年8月 |
50代に人気のアーティストランキング【バンド】には、50代の人が若かった頃によく耳にした、活動期間が長いバンドがランクインしました。
精力的に活動しているバンドが多いので、久しぶりに聴いたり、ライブへ参加したりしてみてはいかがでしょうか。
8位:X JAPAN
YOSHIKIとToshlによって結成され、1989年に『X』としてメジャーデビューした、ヴィジュアル系ロックバンドです。
現在のメンバーはYOSHIKI・Toshl・PATA・HEATH・SUGIZOです。元メンバーのHIDEは1998年に、TAIJIは2011年に亡くなっています。
メジャーデビューアルバム『BLUE BLOOD』からシングルカットされた『紅』がヒットし、一躍人気となりました。1992年に『X JAPAN』に改名し、1997年に解散するまで、ハードなサウンドで日本の音楽シーンに大きな影響を与えました。
2007年に再結成して世界各地でツアーを行い、2018年にはX時代の映像6作品をHDリマスター版として発売しています。
7位:いきものがかり
1999年に結成され、2006年のシングル『SAKURA』でメジャーデビューしたバンドです。現在は、吉岡聖恵と水野良樹の2人編成です。
『YELL(2009年)』『ありがとう(2010年)』など、元気の出る曲が広く受け入れられました。2017年に一時活動休止するも、2018年に活動を再開、2021年に山下穂尊が脱退して現在の体制になっています。
シングル『歩いていこう(2011年)』が、2022年の日本テレビ系キャンペーン『カラダWEEK』に採用されており、今後の活動にも注目です。
6位:ゆず
1996年3月に結成された、北川悠仁と岩沢厚治によるフォークデュオです。シングル『夏色(1998年)』で人気に火が付き、1stアルバム『ゆず一家(1998年)』でブレイクしました。
路上ライブからホール、そしてアリーナへとライブ動員数を増やしていき、2001年には東京ドーム公演を果たしています。2016年にはアジアツアーを開催し、人気を不動のものにしました。
2022年の9・10月に、ライブアルバム『YUZU ARENA TOUR 2022 SEES -ALWAYS with you-』『YUZU ARENA TOUR 2022 PEOPLE -ALWAYS with you-』を、配信限定でリリースしました。
2023年には全国17カ所24公演のホールツアーを予定しています。
5位:THE ALFEE
桜井賢・坂崎幸之助・高見沢俊彦からなる、3ピースバンドです。1973年に結成され、1974年にデビューしました。1983年のシングル『メリーアン』のヒットが、ブレイクのきっかけでした。
長年にわたって精力的に活動しており、シングル『The 2nd Life -第二の選択-(2021年)』では、55作品連続でチャートランキングベスト10入りを果たしています。また2022年7月には、2,813本ものライブ本数を達成しました。
2022年にシングル『星空のCeremony/Circle of Seasons』を発売し、全21公演の全国ツアーと武道館2DAYS、大阪城ホールでの公演が開催されます。
4位:スピッツ
草野マサムネ・三輪テツヤ・田村明浩・﨑山龍男からなる、4人編成のロックバンドです。1987年に結成され、1991年にメジャーデビューしています。
シングル『ロビンソン(1995年)』が大ヒットし、人気に火が付きました。結成30周年にあたる2017年には、バンド史上最大規模の記念ツアーを開催しました。
2022年にはライブ映像作品が2作品発売されたほか、オンラインメンバー限定のラジオ・動画配信や、ファンクラブ会員限定イベントを行うなど、ファンをいつまでも飽きさせない活動をしています。
3位:Mr.Children
桜井和寿・田原健一・中川敬輔・鈴木英哉の、4人編成のロックバンドです。1989年に結成され、1992年にミニアルバム『Everything』でメジャーデビューしました。
シングル『CROSS ROAD(1993年)』でブレイクし、その後『innocent world(1994年)』『名もなき詩(1996年)』など、数多くのヒット曲を世に送り出しています。
2022年にはメジャーデビュー30周年を迎え、ベストアルバムを2枚リリースしました。また、アニバーサリーツアーとして『Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス』を開催しました。
2位:DREAMS COME TRUE
吉田美和・中村正人の2人組のバンドです。1988年に結成され、1989年にメジャーデビューしました。
シングル『未来予想図II(1989年)』で一躍人気になり、『決戦は金曜日(1992年)』『サンキュ。(1995年)』など多くのヒット曲があります。
吉田美和の抜群の歌唱力で歌い上げられる共感性の高い歌詞と、ソウル・R&Bを基調としたサウンドが、年代を問わず受け入れられています。規模が大きいライブも大人気で、精力的にライブ活動を行っていることも特徴です。
ファンのリクエストでセットリストが決まるライブを4年に一度行っており、2023年に9回目の『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2023』が開催予定です。
1位:サザンオールスターズ
1978年にシングル『勝手にシンドバッド』でデビューした、桑田佳祐・関口和之・松田弘・原由子・野沢秀行による5人編成のバンドです。
『いとしのエリー(1979年)』『涙のキッス(1992年)』など、数多くのヒット曲をリリースしています。
2008年に無期限活動休止に入りましたが、デビュー35周年を迎えた2013年に復活し、シングルリリースと野外スタジアムツアーを行い話題になりました。50代だけでなく、若い世代にも人気のあるバンドです。
50代に人気のアーティストランキング【ソロ】
順位 | タレント名 | スコア | 調査時期 |
1位 | 桑田佳祐 (サザンオールスターズ) |
46.7 | 2022年8月 |
2位 | 松任谷由実 | 45.3 | 2022年8月 |
3位 | 中島みゆき | 44.2 | 2022年5月 |
4位 | 竹内まりや | 43.7 | 2022年8月 |
5位 | 山下達郎 | 42.8 | 2022年8月 |
6位 | 松田聖子 | 37.2 | 2022年5月 |
7位 | 福山雅治 | 36.3 | 2022年8月 |
8位 | 森高千里 | 36.0 | 2022年8月 |
50代に人気のアーティストランキング【ソロ】も、バンド同様に活動期間が長いアーティストがそろっています。
周年記念としてベストアルバムを出しているアーティストが多いので、久しぶりに聴く人も初めて聴く人も、挑戦しやすいでしょう。
8位: 森高千里
1969年生まれ、熊本県出身のアーティストです。1987年にシングル『NEW SEASON』でデビューし、南沙織の『17才』を1989年にカバーしてブレイクしました。
独特の世界観を持つ歌詞が人気となり、シングル『雨(1990年)』『私がオバさんになっても(1992)』など、多くのヒット曲を世に送り出しています。
2012年にはYouTubeチャンネルを開設し、セルフカバー200曲に挑戦しました。また2022年には、デビュー35周年記念ライブを開催しました。
7位:福山雅治
1969年2月6日生まれ、長崎県出身です。1990年にシングル『追憶の雨の中』で、シンガーソングライターとしてデビューし、現在では俳優・ラジオパーソナリティーとしても活躍するなど、広い世代に支持されています。
『IT’S ONLY LOVE(1994年)』『桜坂(2000年)』などの代表曲を持つほか、ドラマ・映画の出演も数多くこなしています。ドラマ『ガリレオ』シリーズやNHK大河ドラマ『龍馬伝(2010年)』の主演で、俳優としての人気も不動のものとしました。
2022年には『ガリレオ』シリーズの映画『沈黙のパレード』で主演、同作品のミニアルバム『ヒトツボシ ~ガリレオ Collection 2007-2022~』をリリースするなど、精力的に活動しています。
6位:松田聖子
1980年にシングル『裸足の季節』でデビュー以降、アイドルとして国民的な人気を得ました。『青い珊瑚礁(1980年)』『赤いスイートピー(1982年)』などのヒット曲を持つほか、これまでに40以上の音楽賞を受賞しています。
女優としても、ドラマ『たったひとつのたからもの(2004年)』やNHK大河ドラマ『平清盛(2012年)』など、多くのドラマ・映画に出演しました。
2022年には『Seiko Matsuda Concert Tour 2022』を開催し、現在も精力的に活動しています。
5位:山下達郎
1953年2月4日生まれの、シンガーソングライターです。1980年に発表したシングル『RIDE ON TIME』でブレイクし、日本の音楽シーンに大きな影響を与えています。
アルバム『MELODIES(1983年)』に収録された『クリスマス・イブ』が、1988年にオンエアされたJR東海のクリスマスキャンペーンに使用されて、大ヒットしました。以降、クリスマスのスタンダードナンバーとして定着しています。
2022年には、KinKi Kidsのシングル『Amazing Love』の作曲を手掛けました。同年、アルバム『SOFTLY』の発売や、コンサートツアーの開催などで活躍しています。
4位:竹内まりや
1955年3月20日生まれ、島根県出身のシンガーソングライターです。1978年にデビュー後、シングル『September(1979年)』『不思議なピーチパイ(1980年)』などがヒットしました。
山下達郎と結婚後、ほかのアーティストに作品を提供し始め、1984年にはシンガーソングライターとして活動を再開しています。デビュー30周年にはコンプリートベストアルバム『Expressions(2008年)』をリリースし、ミリオンセラーを達成しました。
2018年にデビュー40周年を迎え、今もなお幅広い世代から支持されています。2022年には、デジタルリマスター版のアルバム『Quiet Life(30th Anniversary Edition)』がリリースされました。
3位:中島みゆき
1975年のデビュー以降、『時代(1975年)』『悪女(1981年)』『地上の星(2000年)』など、数々の名曲を世に送り出し、1970~2000年の各年代で、シングルチャート1位に輝いています。
2022年12月には、シングル『倶(とも)に/銀の龍の背に乗って』をリリース予定です。それぞれ、ドラマ『PICU 小児集中治療室』と映画『Dr.コトー診療所』の主題歌になっています。
また発売30周年を迎える、サントリー食品インターナショナル株式会社の缶コーヒー『BOSS』のCMへの出演も話題となりました。
2位:松任谷由実
1954年1月19日生まれ、東京都出身のシンガーソングライターです。1972年にデビューし、女性シンガーソングライターの草分け的な存在として活躍してきました。
1976年にアレンジャー・プロデューサーである松任谷正隆と結婚しています。セールス枚数は通算3,000万枚を超えており、『ユーミン』の愛称であらゆる世代から圧倒的な人気を得ています。
45曲を収録したベストアルバム『ユーミンからの、恋のうた。(2018年)』は、松任谷由実自身による選曲です。
2022~2023年にかけてデビュー50周年を記念し、ベストアルバム発売・展覧会の開催・アリーナツアーなど、イベントが目白押しでファンを喜ばせています。
1位:桑田佳祐(サザンオールスターズ)
1956年2月26日生まれ、 神奈川県出身のシンガーソングライターです。『サザンオールスターズ』でフロントマンを務める一方、ソロアーティストとしても高い人気を誇ります。
1987年に、シングル『悲しい気持ち(JUST A MAN IN LOVE)』でソロ活動を開始し、『波乗りジョニー(2001年)』『白い恋人達(2001年)』ではミリオンセラーを達成しました。
2022年には、ベストアルバム『いつも何処かで』をリリースするほか、ドームツアー『お互い元気に頑張りましょう!!』を開催するなど、精力的に活動しています。
また、ベストアルバムに収録された楽曲『なぎさホテル』が、桑田自身が出演する株式会社ユニクロのCMソングに決定し話題となりました。
いくつになっても音楽を身近に感じて
年齢を重ねると、新しい情報を収集するのを億劫に感じる人は少なくないでしょう。しかし、近年はネットに簡単にアクセスできるので、昔に比べて手軽に知りたい情報を得ることができます。
そのため、テレビ・ラジオなどで聴いた音楽を調べたり、昔好きだったアーティストの活躍を確認したりしやすい環境だといえるでしょう。いくつになっても音楽を身近に感じ、趣味を広げて楽しんでみてはいかがでしょうか。